歯科助手の仕事内容は衛生士とどう違う?経験者の声10選

歯科助手の仕事内容について体験談をもとにまとめました。歯科助手の業務は歯科衛生士と混同されがちですがどう違うのでしょうか。歯科医院により行う仕事は異なりますが、レセプト業務などの事務作業が大変であったり、歯科医師の先生とのコミュニケーションに悩む方が多い傾向にあります。

歯科助手の仕事内容は衛生士とどう違う?経験者の声10選

歯科助手の仕事内容ってどんなもの?

歯科医院は街のあちこちにあり、それだけ求人数も多いものです。特に歯科助手は歯科衛生士と比べ資格なしで働くことができるので、女性には非常に人気の高い仕事でもあります。

歯科助手の仕事内容を「そこまで難しいことはしないだろう」と考えている方も多いですが、実際には歯科助手になると覚えなければならないこともやらなければならないこともたくさんあります。
今回は経験者の声をもとに、歯科助手の仕事内容について歯科衛生士との違いにも触れながら解説していきます。

歯科助手の主な仕事内容

患者の虫歯が治って喜んでいる歯科医と歯科助手

勤務する歯科医院によって歯科助手の仕事には違いがありますが、主だった業務内容としては以下の通りです。

  • 器具の洗浄
  • 医療機器の片付け・滅菌消毒
  • 席やレントゲン室への誘導
  • 医院内の清掃
  • 受付・会計業務
  • カルテの整理
  • 患者様の呼び出し
  • 入れ歯磨き
  • 歯材の発注
  • 治療補助(バキュームで水を吸う、薬品を練るなど)
  • 研修会・勉強会への参加

歯科助手の仕事は、基本的には歯科医師や歯科衛生士のアシスタントがメインとなります。大きな歯科医院の場合、歯科助手とは別に受付業務を行う方がいるところもありますが、基本的には歯科助手が受付業務を兼任するケースがほとんどです。

歯科助手と歯科衛生士の仕事ってどう違うの?

混同されがちなのが歯科助手と歯科衛生士の仕事内容です。

資格取得の必要がなく、未経験からでも始められる歯科助手の仕事内容は、歯科医療行為以外の受付業務や事務作業、掃除などの業務です。それに対し、国家試験に合格した歯科衛生士は歯科予防措置・歯科診療補助・歯科保健指導などの歯科医療業務を行うことが許されています。

当然、歯科助手が歯科医療を行うことは違法行為にあたります。しかし、人手不足などを理由に歯科助手に歯科衛生士と同じ仕事をさせる医院が少なくないのが現状です。求人探しの際には、その医院が違法行為に触れていないかどうかをしっかり確認する必要があります。

携われる仕事の範囲の違いにより、歯科助手と歯科衛生士の間には給与などの待遇面においても差が生まれます。そのため、歯科助手を経験してから歯科衛生士の資格取得を目指す方も少なくありません。
中には院内で歯科衛生士へのキャリアアップを積極的にサポートしている歯科医院もあるため、歯科の世界で長く働きたいのであれば、こういった制度を上手く活用するのが賢明でしょう。

歯科助手の勤務形態・休日

「9:00~18:00」「13:00~21:00」「9:00~21:00」の3パターンをシフト制で繰り返すという医院、フルタイムで8:00-17:00というところなど、勤務形態は歯科医院によってさまざまです。土曜日は午前診療のみなど、曜日によって勤務時間が異なるところも多いです。

休日については週休二日制で月8日という声が多く見られます。今回の調査では日祝と木曜を定休としている医院が目立ちました。

歯科助手の仕事をしていて大変なことは?

上司と笑顔で会話する歯科助手の女性

歯科助手として働く上で苦労するのが他のスタッフとのコミュニケーションです。歯科治療においてはチームワークがとても大切であるため、人間関係がうまくいかないと仕事にも支障が出てしまいます。

慣れてしまえばなんてことないという方も多いですが、特に歯科医師と治療補助を行う際には、先生の行動を先読みして準備を行わなければなりません。器具を差し出すタイミングも人によって違うため、複数の先生がいる医院で働く場合にはそれぞれの癖や特徴をしっかりと覚えておく必要があります。

全くの予備知識なしで働き始めるケースでは、歯材や器具の名前、その他の専門用語を覚えられずに悩むという声が多く寄せられました。また、医療事務の仕事にはつきものである月一のレセプト業務に苦労する方も少なくありません。

さらに、歯科助手は患者様を相手にする接客業でもあるため、常に笑顔で感じのよい対応を心掛ける必要があります。

歯科助手の仕事の魅力ややりがいは?

笑顔の歯科医と歯科助手と患者の子供

歯科助手の仕事は何かと苦労することも多いものですが、患者様から感謝される機会も多い仕事です。治療を終えて笑顔をしてご帰宅される患者様の姿を見ると、大きな達成感とやりがいを感じることができます。

仕事の経験を積むうちに歯科の知識を身に着けることができるのも、歯科助手として働く大きなメリットです。正しい歯科知識を身に着けることは、自分はもちろんのこと、家族の歯を守ることにもつながります。

また、素人が歯科治療を受けるときには何をされているのか見えないため不安になってしまうものですが、歯科助手としての予備知識があると、治療中に飛び交う用語に耳を傾けることで治療内容を把握することもできます。

歯科助手の仕事内容を経験者に聞いてみた!

現役の歯科助手や歯科助手経験者の方から、仕事内容、歯科医院で働いて大変だったことややりがいについて詳しいお話をリサーチしました。

20代歯科助手経験者の声

先生とタイミングを合わせることが大事

yuki(23歳)


私が働いていた歯科医院は9時から20時までやっていて、私はフルタイムで働いていました。お昼休みがあるため13時から15時まで休憩で、休日は木曜日と日曜祝日でした。

歯科助手の仕事内容は、先生が治療をしやすいように器具を渡したり、口内にたまる唾液をバキュームで吸い取ったりしているのが一般的なイメージにあると思います。しかし、その他にも歯型をとるための薬品を練ったり受付業務を行ったりと、仕事内容は多岐にわたります。器具の準備や洗浄も大きな仕事の一つです。

今まで経験してきて大変に思ったことは、先生のタイミングが読めるようになるまでは息が合わずかなり仕事がやりにくいということです。先生によってはタイミングが合わなくていらっとする人もいるので合わせられるようになるまでは苦労しました。

歯科助手は精神的にも体力的にも大変な仕事ですが、患者さんが治療を終えて帰られるときには、良かったなあといつも思ってすがすがしい気持ちになります。

ドクターの行動を先読みする

くみ(23歳)


勤務時間は3パターンのローテーションでのシフトで、1.9:00~17:30 2.9:00~20:30 3.14:30~20:00で成り立っています。休日は水、日、祝の週休二日制です。平日でしか済ませられない用事もあるので、平日にお休みがあるのはとても助かりました。

歯科助手の仕事内容はドクターや歯科衛生士の治療のアシスタントや、治療前の準備、治療後の片付けです。

1番大切なお仕事は患者様とドクターの架け橋となることだと思います。ドクターには直接相談しにくい事もたくさんあるので、ドクターの行動を先読みし準備する必要があります。専門用語を覚えるのも一苦労でした。他には拘束時間が他の仕事よりも多いので少し大変だと思います。

お口の中が綺麗になって患者様が喜んでいる姿を見たり、ありがとうと言われるときには、歯科助手としての大きなやりがいを感じました。

小さい子が来るとうれしい

ぽんず(24歳)


先生が一人で歯科衛生士さんもいない病院で時間は、午前中は9時~12時で午後からは14時~19時でした。木曜、日曜、祝日がお休みでした。

仕事としては治療に必要な器具を用意しておくこと、治療中の補助(バキュームで口の中の水を吸う等)、使用した器具の洗浄、清掃、受付もしていました。

人数がいる歯医者では受付と助手が分かれていますが、個人の先生一人でやっているところは大体歯科助手が受付も行なっていると思います。

中でも大変だなと感じたのは先生への対応です。いつも言ってくるやり方が違ったり、イライラするとすぐにブツブツ言い出すので、相手をするのが面倒くさかったです。また、専門的な名前で器具を指定してくるのでそれを覚えるのが大変でした。

それでも、仕事を通していろんな患者さんたちとお話できるので、優しい気持ちになれることも多くありました。小さい子が来た時にバイバイしてくれたのも可愛くて覚えています。

また、自分が他の歯医者で治療してもらう時に用語がわかるので、何をされるか分かるのが安心できます。

歯科器具のイラスト

慣れるまでは難しい

あやまる(22歳)


勤務時間は朝8時から夜の19時までで、研修期間中は研修があるため朝は7時に職場に行っていました。また夜は一応19時には終わりにはなりますが、処置が長引いたりその後の片付け等で結局19時40分や50分ぐらいにはなっています。週休2日制で月に8日はお休みがあります。

歯科助手としての仕事内容は、器具の片付け、滅菌から患者さんに対する施術の手伝いまで幅広いです。

仕事で大変だったのは、やはり各施術内容とその準備物を覚えて素早く出すことに慣れるまでです。

歯科助手をしていて良かったと思えることは、患者さんからの自分に対するありがとうという言葉が聞けたときです。「あぁやってて良かった、これからも患者さんのためにもっと 頑張ろう」と思えます。

患者さんとのコミュニケーションが大変

ゆい(24歳)


勤務時間は8:00~20:00 (休憩2時間)、休日は月に10回程度です。

歯科助手の仕事内容は歯科医師のアシスタントです。歯科医師のアシスタントは、医師が虫歯を削ったあとに虫歯を詰める歯科治療をスムーズに進めるための準備や、医師への器具渡しなどが主です。

仕事で大変なのは、歯科治療の流れや治療器具の名前を覚えること、患者様が安心して治療していただくためにコミュニケーションをとることです。

歯科助手をして良かったのは、患者様に感謝をされるお仕事なので、やりがいのあるお仕事だということです。また、歯にも詳しくなれるので、自分の歯や子供の歯を守れます。

体力的には楽な仕事

ぽてと(29歳)


過去に歯科助手として働いていました。勤務時間は8:00-17:00で、休日は日祝と木曜でした。

仕事内容は受付業務、医療機器の片付け、麻酔のセット、ごみ捨て、患者の呼び出しや口の中の水を吸うバキューム、コットンで先生の取った歯垢の受け取り、消毒、掃除です。

仕事をしている上で大変だと思ったことは、全くの無知で入ったのでレセプトについてちっとも分からなかったことと、先生との関係性です。

何も知らない状態で入ったので、治療後に用意する器具がなかなか覚えられなかったり、歯型の練る機械でうまく練れなかったりと、先生をカンカンに怒らせたりと大変でした。さらに、口腔内で広がった血をみて貧血を起こして慣れるまで気持ち悪くなったりもしました。

仕事をしていて良かったなと思ったことは、慣れるととても結構体力的には楽な仕事だったと思います。

30代歯科助手経験者の声

患者さんとドクターのパイプ役

ぴぃ(30歳)


私は歯科助手を始めて10年目です。現在働いている歯科医院の勤務時間は月~水、金曜日は8:30~19:00、木曜日は8:30~12:30、土曜日は8:30~16:00となっています。休日は日曜日と木曜日午後で平均月6日になります。

私の医院での歯科助手の仕事内容は、受付事務、器具の滅菌・消毒、ドクターや衛生士の診療アシスタントがメインになります。その他、患者さんがドクターや衛生士に直接言えない相談などもパイプ役として聞いています。

歯科助手の仕事で大変なことは、1日ほぼ立ちっぱなしと言う点です。

歯科助手としてできる仕事内容は限られていますが、やっぱり最後に患者さんの笑顔を見られること、アシスタントする事により、ひとつ前の事を見ながら行動する力が身に付いたことは、仕事以外の日常生活でも役に立っています。

子供が笑顔で治療を終えられるとうれしいです

うめ(31歳)


歯科医院での勤務時間は9:30~20:30の間です。休憩1時間含めの9時間勤務で、お休みは木曜日とシフト制で、あと1日含んでの月8日です。私は独身だったので日曜日と祝日は勤務でした。

歯科助手の仕事内容は歯科医師の治療補助、機材の洗浄滅菌、歯材の発注、受付会計などいろいろです。

初めは大量の歯材の名前や、衛生士と先生の間で飛び交う専門用語を覚えるのにとても苦労しました。歯の治療をするために技術を習得したりする際にも、素人だったのでなかなか上手くイメージできず大変でした。

それでも歯科助手をしていてよかったと感じるのは、初めは怖くて暴れていた子供達が最後には笑顔で治療を終えられたりするときです。成長した姿を見るとすごく嬉しくなります。

子供と一緒にサムズアップする歯科医と歯科助手

患者さんに喜んでもらえると良かったと思える

デイジー(30歳)


私は、歯科助手として、9:00~18:00、13:00~21:00、9:00~21:00の3パターンを、シフトで週に数回ずつという形で勤務していました。休日は月に9日から10日ありました。

歯科助手の仕事の内容としては、治療のための器具の準備、片付け、歯科医師の治療の補助や、受付、カルテの整理などでした。

大変なことは、院内感染を防ぐために器具を確実に清潔に保つことや、治療介助をスムーズに行うために治療の内容や順序、目的などを頭に入れておく必要があることです。患者さん相手の仕事なので、笑顔や感じの良い対応も心掛けなければなりません。

この仕事をして良かったと思えることは、歯科の正しい知識が身に着くことと、やはり、痛みや不安を解消された患者さんに喜んでもらえたことです。

レセプト業務が大変でした

もも(32歳)


未経験で全く知識もなく歯科の職場に飛び込みました。「正直簡単な作業しかやらないだろう」そんな風に思っていましたが、専門的なこともあり覚えることもたくさんで、人材不足なために大抵の事は全てやりました。

病名や治療内容、器具の名前などは働いていくうちに意外とすんなり覚えられて一般的な業務は普通にこなすことができました。しかし、受付業務(レセプトも含む)を一人で任されてからは本当に大変でした。

まず、レセプトについてほとんど教えてもらってない状態で、一人でやらなくてはならなく、毎月返戻におびえていました。返戻が多いと、院長からあからさまに嫌味を言われるのでものすごくプレッシャーでした。慣れてしまえば一般診療のアシスタントはなんとかなりますが、レセプト業務は一番大変です。

カルテのチェックも膨大なのですが、それを診察時間内にしなくてはならず、でも診察時間内は治療の患者さんもいて忙しく、結局休みの日や、診療時間外に行っていました。レセプトを永遠と続けているような毎日でした。

歯科助手の仕事から得られるものは多い

歯の健康は全身の健康にも大きく関わります。歯の健康への高い意識を持ち、歯科に関する正しい知識を身に着けることは、全身の健康維持のために大切なことです。

未経験から歯科助手として働くとなると、最初は知識を身に着けるのにとても苦労します。しかし、その苦労を通じて得られるものはたくさんあります。歯科助手は求人数も多いため、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。