「飲む」の敬語表現の使い方・飲み会で使える参考例文

「飲む」の敬語表現ができるようになると、飲み会の席などで言葉のミスから評価を落としてしまうことを避けられるようになり、またその席も自然に楽しめます。慣れるまでは間違いやすいので、正しい敬語表現を確認することが大切です。

「飲む」の敬語表現の使い方・飲み会で使える参考例文

「飲む」の敬語をちゃんと使えていますか?

社会人になれば敬語はスムーズに使いこなしたいものですが、ビジネスの場面の内外でよく使われるのが「飲む」という言葉です。「飲み物を飲む」ことは日本語では対話や相談の意味を持つこともあります。また、上司や先輩とのそういった席があればお礼なども必要で、その際には敬語で表現することが求められます。

学生時代には気にしなかったこの言葉も、社会人になればしっかり使えるようにしたいもの。ちゃんと使えていないために、知らないうちに評価を落としていることもあります。
簡単そうで意外に難しい「飲む」の敬語について考えてみましょう。

「飲む」の敬語表現の基本

コーヒーを飲む会社員の男女

「飲む」に限らず、敬語には基本的に三つの種類があります。

  • 尊敬語:相手や相手の動作に対して敬意をはらう言葉遣い
  • 謙譲語:自分や自分の動作をへりくだって(下げて)言うときの言葉遣い
  • 丁寧語:丁寧な言葉づかい

この三つの基本をしっかり理解して用いることが求められますが、この基本の使いわけを正しくできていなくて失敗することが少なくありません。間違った敬語の使い方をすると、自分を尊大にしてしまったり、相手を落としたりと逆効果になることもあるので注意が必要です。

「飲む」の敬語表現の分類

  • 尊敬語:召しあがる、お飲みになる
  • 謙譲語:いただく
  • 丁寧語:飲みます

自分が「飲む」場合の敬語表現

まずは自分が飲む場合の敬語表現について考えてみましょう。

「私はコーヒーを飲む」の場合

  • 「私はコーヒーをいただきます」(謙譲語)
  • 「私はコーヒーを飲みます」(丁寧語)

尊敬語は、相手を高める言い方になりますので、自分を主語にする動作については使えません。従って「私はコーヒーを召し上がります」という表現は間違いになります。

「私はコーヒーをいただく」は間違いではないのですが、「いただく」は「頂く(高く上げる)」という動詞もありますので、これだけだとぞんざいな言い方に聞こえてしまいます。「いただく」を使う場合は「いただくくことにします」や「いただきます」と丁寧な言い方にするのが通例です。

また、「コーヒーでも召し上がりますか?」「はい、では召し上がります」というミスは口語における回答で意外に多く見られます。他の人の敬語に釣られないよう注意してください。

上司などの目上の人が「飲む」場合の敬語

お酒の席などでは、上司などの目上の方に飲み物を勧める場面も多くあります。その場合に「何か飲みますか?」というのは丁寧語にはなっているのですが、ワンランク上の社会人を目指すならしっかり尊敬語で表現したいものです。

会社の宴会でビールを部下に注いでもらっている上司

「何か飲みますか?」の場合

  • 「何かお飲みになりますか?」
  • 「何か召しあがりますか?」

尊敬語を使う場面では、謙譲語を使うことはありません。尊敬語もしくは丁寧語になりますが、基本的には尊敬語を使い、関係が近い方であれば丁寧語にするのが通例です。どれだけ仲良くなっても、また上司が年下だとしても、上司に対して「何か飲む?」という言い方をしないように注意しましょう。

「飲む」の尊敬語は「召しあがる」ですが、飲み物を丁寧に言い、丁寧語と組み合わせることでも丁寧にすることができます。「お飲み物はいかがでしょうか?」というような使い方も敬語として大丈夫です。

シーン別の「飲む」の敬語表現

基本的な表現としては上記のものを覚えておけば良いのですが、シーンによっては少し難しい判断が必要なこともあります。ここではそういった場面の敬語表現について文例と共に紹介します。

気軽な飲み物を勧める場合の「飲む」

会社の同僚に飲み物を勧める女性社員

自分が離席して飲み物を買ったり淹れたりする際に、近くの上司や同僚にも勧める場合があります。この場合には、あまり気がねする必要はありません。「お茶でも飲む?」とまでカジュアルにはできませんが、以下のように軽めに尋ねましょう。

  • 「お茶でもいかがですか?」
  • 「お茶でも飲みませんか?」
  • 「お茶でも淹れましょうか?」

「お茶でも召し上がりますか?」というのは間違いではありませんが、実際の行動を考えると尊敬語が大げさに聞こえることもあります。よほどいいお茶なら不自然さはないのですが、すぐに準備できるようなものであれば意識しすぎないのが自然です。

目上の人からもらった飲み物を飲む場合の「飲む」

目上の人からごちそうしてもらったり、お土産などでもらった飲み物を紹介して飲むような場合は、目上の人に敬意を払って表現します。

例えば、同僚(友人)と自宅で飲むような場合には「先日部長からお土産にいただいた焼酎なんだけど飲む?」というような表現ができます。ここでは、部長から「いただいた」と謙譲語表現を使っている一方で、尋ねるのは気兼ねない相手なので普通の口語で尋ねています。

また、「部長の家で部長が淹れてくださったコーヒーを飲んだとき緊張した」というような場合も同様で、「飲む」「緊張した」のは自分の行為なので、聞く相手に特別に敬意を払う必要がなければこのような使い方も可能です。
もちろん、話している相手に対して敬意を払いたい場合は、文の後半についても「いただいたとき緊張しました」と謙譲語や丁寧語にする必要があります。

飲み会の席での「飲む」の敬語表現の使い方

ここでは、職場の飲み会などでよく使われる「飲む」の敬語表現をチェックしていきましょう。

宴会で日本酒をお酌してもらってる会社の上司

上司や先輩との飲み会の席での「飲む」

社内や部署内の飲み会の席も多いですが、この時には飲み物を飲む時は「お飲みになる」「召しあがる」「いただく」といった尊敬語・謙譲語を中心に使いましょう。

  • 「課長、何かお飲みになりますか?」
  • 「部長、何かお飲み物は召し上がりますか?」
  • 「私は梅酒をいただきます」

「飲まれますか?」というような助動詞を使った敬語表現もできますが、あまりスマートな言い回しではなく、しっかりした敬語というよりは丁寧語に近い感じを与えてしまいます。また、「飲み物を召し上がられますか?」という二重敬語になりやすいので、避けた方が無難です。

取引先の人と一緒に飲む場合の「飲む」

プロジェクトの最後などに関係先の企業の方と一緒に打ち上げで飲む場面もありますが、その場合の敬語表現は注意が必要です。上司が同席することが多いですが、この時は上司ではなく他企業の方に敬意を向けた表現をします。

  • 「私はビールを、課長の吉田は焼酎をいただきます。(A社の)田中さんは何をお飲みになりますか?」

上記のように、上司でも敬称は省いて謙譲語表現とし、他の企業の方に尊敬語を用います。立場がごちゃごちゃしても間違わないように注意しましょう。

また、先方の役職者を呼ぶときは「佐藤社長」「木村課長」のように呼びます。間違っても「佐藤社長さん」とは呼ばないように気を付けてください。

「飲む」の敬語のコツは最初と最後にある

会社の飲み会を楽しむサラリーマン達

「飲む」場面は社会人になると様々にありますが、お酒を飲むことは人と人とのコミュニケーションを活発にすることが目的である場合もあります。そのため、飲み会の席などでは堅苦しい敬語を使うことを嫌う企業も少なくありません。

中にはこんなシチュエーションも…

自分「部長、今日はお招きくださりありがとうございます」
部長「いやいや、今日は堅苦しいことは無しで楽しんでくれ」
自分「ありがとうございます。では、早速ビールを頼みますね。部長はどうします?」
部長「じゃあ焼酎を」
自分「ラジャー!」

完全に無礼講とまではいかなくとも、このようにその場に合わせた敬語のレベルに調整する必要があります。

なお、気楽なお酒の席になったとしても、最後は「今日は楽しい時間にお招きいただきましてありがとうございました。そしてご馳走様でした。失礼な言動もあったかと思いますが、お酒の席ということで何卒ご容赦願えましたらと存じます」と、丁寧に敬語で締めくくるのがマナーです。

当日に伝えるのが難しい場合は後日口頭やメールでお礼をするようにしましょう。もちろん、「部長、ごちそうさん!」のように最後まで無礼講を続けるのは失礼にあたりますので気を付けてください。

「飲む」の敬語ができれば上司や先輩との飲み会も怖くない

お酒の席に参加する機会は社会人になれば何かと多くなりますが、正しい敬語表現ができれば、その分その時間を楽しむことができるようになります。

「飲む」時間はリラックスする時間でもありますが、新入社員や学生の場合、言葉遣いに気を遣うためにリラックスできず、ぎこちないコミュニケーションに終始したり楽しめないケースも多く見られます。

敬語で表現する際のポイントを掴んでおけば、あまり細かいことを気にせず楽しむことができるようになります。「召しあがる」「お飲みになる」「いただく」「飲みます」が自然に出てくるように積極的に使ってみてください。これさえできれば上司や先輩との飲み会も怖くありません。

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