仕事の断り方で角が立たないようにする8つのポイント

仕事の上司な断り方が身に着くと、仕事を選べるので生産性の向上にもつながります。上司や先輩社員からの仕事を断れない心理、ダメな断り方に見られる特徴をまとめました。断りにくい目上の人からの仕事の依頼を角が立たないよう上手く断るコツを押さえて、人間関係も円滑に保ちましょう。

仕事の断り方で角が立たないようにする8つのポイント

角の立たない仕事の断り方って?

ビジネスは様々な仕事を互いに頼みあうことによって進んでいきます。当然その中には対応できるものもあれば、対応できないものもあるのですが、その時に頼まれた仕事を断ることができずに悩んでいるビジネスパーソンは多いです。

頼まれた仕事をとにかく引き受けているうちに自分のキャパを超えてしまい、体調を崩したりサービス残業の原因になってしまったり、また本来自分がするべき仕事の質を下げてしまい、それで評価を落としてしまうこともあります。

生産性の高い仕事をするには「ノーと言う」ことも大事だとよく紹介されていますが、様々な事情により、仕事を断るのはそう簡単なことではありません。上手な仕事の断り方のコツを押さえましょう。

仕事が断れない人の心理

沢山の仕事の書類が積まれたデスク

仕事は断れるなら断れたら良いのですが、それを許さないのは誰かというと自分です。仕事が断れない人には、いくつかの共通した心理が見られます。

1 頼りになる人だと思われたい

仕事について頼られるのは、自分の能力が認められている証だとも言えます。その「頼られる」状況によって自尊感情を保っている人も多いです。特に、仕事における営業成績などの一般的な評価が高くない人によく見られる心理で、仕事が集まることを「頼れる」自分への評価だと錯覚しがちです。

2 人間関係が気になる

仕事を断ると人間関係が壊れてしまうのではないかと思っている人も多いです。仕事の内容にもよりますが、困っているのに見捨てるようで冷たく感じ、またその後の関係もギクシャクする気がします。特に、上司など影響力のある人からの頼みを断ることに対して非常に良くないと考えてしまいます。人間関係に過度に神経質になっている、あるいは人間関係にあまり自信がない人にありがちです。

3 自分の仕事に自信がない

新人の頃など、自分の仕事に自信がない時には、ちょっとした雑用などでも引き受けて仕事をしている気持ちになりたいものです。最初は良いですが、年次が進んでも変わらないと、自分のするべき仕事よりも頼まれ仕事でいっぱいになってしまい、ますますスキルアップが難しくなります。

4 自分が何を期待されているのかわかっていない

仕事を断るべき理由は「本来するべき仕事に集中するため」であるべきですが、するべき仕事がよくわかっていない場合には、他の仕事を引き受けたり、するべき仕事まで断って評価を落してしまう場合もあります。
年齢や役職、立場などによって会社が社員に期待することは違ってきます。自分への期待事項を正確に理解してこそ仕事を選べるようになります。

ダメな仕事の断り方にありがちなパターン

手のひらを見せて拒否の意思を示してるスーツを着た女性

仕事を断れない人もいますが、仕事を断ることで失敗する人もいます。ダメな断り方にありがちな点をチェックしておきましょう。これらには共通して自己中心的な態度が隠れています。

1 嫌な気持ちが前面に出ている

仕事を断る際に、一番良くないのは嫌悪感むき出しの断り方です。「何で私?」と口に出してしまったり、厳しい表情で睨みつけたりすると、その後はその人に頼みにくくなります。

2 短く断る

仕事を断る時に良くないのが、「できません」「無理です」「嫌です」と短く断る言い方です。とりつく縞もないような断り方で、どうしてできないのかの説明すらなく、また話を聞いているのかもわかりません。頼む側も不快な気分になります。

3 即座に断る

仕事を断るにしても、考える素振りを見せずにすぐさま断ってしまうのも良くない断り方です。相手によっては非常に失礼な対応となりますので注意してください。相手が話したことに関しては、いったん受け入れて考えてみることが最低限のビジネスマナーです。

上手な仕事の断り方のポイント

仕事を上手に断るためにはいくつかのポイントがあります。これらを意識することで、相手も仕事を断られたからといって嫌な気分になることはなくなるでしょう。

1 相手の立場に立つ

依頼する側の立場に立ってみることが仕事を上手に断るためには必要不可欠です。
仕事を依頼する側にも感情があり、それが依頼の仕方にも表れているはずです。その感情をよく読み取った上で、角が立たない対応をしていくことが望ましいです。上司、同僚、取引先、様々な立場の相手がいますので、どれも同じようにではなく、相手の立場や性格などを考えて対応を決めましょう。

2 謝る

手のひらを合わせ態度で謝罪を示す女性社員

断りを入れる際は、対応できないことに関しての謝罪を必ず入れましょう。特に目上の人や取引先に対して謝罪の意が無い場合にはその後の関係に距離ができる場合もあります。ビジネスは相互に依頼をし合うのが当然であり、協力的に物事に取り組むのが基本です。ですから、断るのが当然という状況だとしても、協力できなかったことに関しては謝るという気持ちを持ちましょう。

3 感謝する

仕事を断る際には、依頼してきた相手に対し感謝をすることが大事です。「ありがとう」と言われると厳しい言葉や態度を向けにくくなるものです。仕事を断る時だけでなく、言いにくいことを言わなければならない場合の大事なテクニックですので覚えておきましょう。「このような機会・ご相談をいただきありがとうございます」「ご足労いただきありがとうございます」など、相手の行動に対してまずは感謝の意を示してから断りを入れるようにします。

4 理由を示す

先方にも事情があって依頼をしてきていますから、それに対して理由も示さずに断るのは良くありません。できないならできない理由をしっかり示す必要があります。とはいえ、必ずしも事実である必要はありません。ただし、その断る理由をもって先方がこちらを判断することになりますので、できるだけ事実が望ましいことは覚えておいてください。

5 代替案を提示する

仕事を断る際に「失礼だ」「傷付けられた」という気持ちになりやすいのが「一緒に考えてくれなかった」という態度です。仕事の依頼は問題解決のためにあなたに頼っているということですので、力を直接に貸せなくとも代替案を出すなど、相手の意見を受けて検討したという態度を見せることが重要です。良い代替案であれば実際に問題解決につながる場合もあり、仕事は断っても評価も高まります。

6 仕事ができる範囲を伝える

仕事を断っても縁が切れず、その後も仕事が回ってくるようにするのがデキるビジネスパーソンです。仕事を断る際には、「今回はダメだけど次はお願いできそうだ」という期待を相手に与えるのがポイントとなります。

スケジュールやスキルの問題で、頼まれごとの全部ができない場合がありますが、その場合は一部だけでも引き受けることを提案してみましょう。それだけでも大きく印象が違ってきます。

7 いつなら対応可能かを伝える

頼まれた仕事を断るにしても、「未来永劫ずっと対応できない」ことは余程のことがない限りありません。自分の抱えている仕事やスケジュールの一部や全体を説明し、いつ頃なら余裕ができるのかの見通しを伝えるだけでも、相手としては次に頼りやすくなりますし、あなたへの理解が深まります。

8 他の解決策を提示する

3人で仕事のことを話す社員たち

「自分は対応することはできないけど、あのサービスを使ってみたら早く終わるはず」「その件ならAさんが以前に同じようなことをしていたから聞いてみるといい」など、他の解決策を提示することで自分は仕事を断っても協力をしたという印象になります。可能なら取り次ぎをするところまで協力してあげれば、「たらい回し」ではなく、良い印象を持ってもらえるでしょう。

仕事を断る時の角が立たない理由

仕事を断る際に困るのが理由ですが、角が立ちにくい理由付けのポイントは「努力はしてみたが仕方がない」という様子を見せることです。

1 「タイミング」を理由にする

  • 「せっかくのお話なのですが、現在繁忙期でラインが手一杯になっておりまして」
  • 「申し訳ありません。現在、A社プレゼンの資料作成で手が回りません」

など、引き受けたいけれどもタイミングが悪いという理由づけは効果的です。これを理由にする場合には、相手にもその重要性がわかるものを選ぶことが角が立たないためのコツです。

2 「全体のうちの一部」を理由にする

  • 「この点に関しては申し分ありませんでしたが、あの点において他社の製品がより当社のニーズに合致しておりまして」
  • 「数量が3000まででしたらこちらでも対応が可能とのことでしたが、今の状況では10000は対応しかねるとのことでした」

いくつかのポイントがある場合や、量の問題で断る場合には、全体を否定するのではなく、一部を肯定しながら一部を否定して断るようにします。それによって検討したが難しかったことが伝わりますし、相手側にも再提案のきっかけを与えることになります。

3 「自分の権限不足」を理由にする

  • 「誠に申し訳ございません。私の力不足で、御社のご提案を社内で通すことができませんでした」
  • 「社内ルールではこの形では稟議を通すことができないと言われてしまいまして」

誰もが好きにできる権限を持っているわけではありません。社内ルールや社内の複雑な意思決定上の仕組みがあることはビジネスマンの多くが承知しています。そのため、自分の権限で仕事を受けることができないことを伝えると、相手も仕方がないという気持ちになります。その際、「自分は本当はその仕事を受けたい」という態度を示すことを忘れないようにしてください。

引き受けるのも仕事、断るのも仕事

ハイタッチをしてるスーツを着た男女

「仕事を断る」と言うのは心苦しいものがありますが、ビジネスにおいて仕事を断る理由は「面倒だから」「嫌だから」ではなく、「本来するべき仕事に集中するため」であるべきです。目的がハッキリしている時には、「仕事を断ることも仕事」になります。

本来するべき仕事であれば引き受けることが仕事となりますが、この区別がついていないと仕事を過剰に引き受けてしまったり、断るべきでない場面でも断ってしまい、ビジネスや仕事上の人間関係にも傷が生じる可能性があります。仕事の種類をよく考えて、引き受けたり断ったりできるようにしましょう。