退職の切り出し方はまず上司に伝えることが円満の秘訣

退職を考えた時、その切り出し方が分からなくてなかなか進められないという人は多いです。円満に退職を進めるために、退職の話を切り出す時期やタイミング、マナーなどについての基本的なことを整理して紹介しています。

退職の切り出し方はまず上司に伝えることが円満の秘訣

円満な退職は切り出し方を知っていれば難しくない

退職をするというのは、自己都合による退職であるほど気持ちが進まないものです。そのため、退職についての話をなかなか切り出すことができず、延々と嫌な会社の中で働き続けてしまったり、急にドタバタと辞めることになってしまって後味が悪くなってしまうことも少なくありません。

しかし、退職は切り出し方さえきちんと知っておけば、計画的に進めることができるものです。退職を決定した場合に尊重されるように労働者の権利は保障されているため、よほどの事が無ければ企業側は止めることができないのです。正しい円満退職の切り出し方を理解し、必要な時に備えておきましょう。

会社に退職を切り出す時期は社内規則にのっとる

会社に退職を切り出す時期は考え方によって様々ですが、一般的には1~2か月前には伝えておいた方が良いでしょう。

法律的には、退職を希望する日の14日前まで申し出れば大丈夫ということになっていますが、これはあくまで最低限のルールであり、社内規則に定めがある場合はそれに従うことになります。社内規則では1~3か月前の間で記載されていることが多いので、退職を考えるようになったら一度確認しておくと良いでしょう。

退職を切り出す時期

アルバイトのようにすぐに辞めることができないのは、引き継ぎや社内外への挨拶などが必要になるためです。また、有給が残っており、買い取ってもらえないのであれば、特別な事情がない限りはしっかり消化しておくべきです。そういった事情を考慮すると余裕をもって2~3ヶ月くらいの時間はほしいものです。

退職時の有給消化を円満に進める6つのポイント

退職先の都合によって1ヶ月先には勤め始めるようになるような場合には、引き留めなどに十分注意することや、社内外の手続きでミスが出ないように注意しましょう。

ただし、どんなに急いでいてもできるだけ繁忙期は避けるべきです。人手も不足しがちで、教育などを行って人員を補給することも簡単ではありませんし、また退職について相談したい相手がつかまりにくく、また話も取り合ってもらいにくいです。

円満退職のスケジュール

「円満退職」という言葉が昨今ささやかれております。どういったものが円満退職の方法なのかという具体的な定義があるわけではありませんが、「円満」という言葉のもつ意味の通り、業務の上や、人間関係において軋轢やいざこざ無く、退職する側、会社側、双方が十分納得できる退職を指して言います。

円満退職のポイント

円満退職

円満退職ですこやかに退職したいのであれば、重要なポイントは計画性、退職までのスケジュールです。十分なスケジューリングを行ないたいのであれば、退職日から数ヶ月前の期間が必要でしょうし、その会社の就業規則をよく知っておく必要があります。円満退職で一番メリットがあるのは、退職する本人です。人間関係や業務、待遇に不満があり、辞める会社だからと無計画に粗雑な退社をしてしまうと、巡りめぐって思わぬところで今後の人生に響いてくる可能性もありますので、ご注意が必要です。

円満退職には、本人と会社、そして会社の取引先の都合を考え、納得されるスケジュールと手続きが必要です。また、ご家族がいらっしゃる方であれば、ご家族との相談、説得も重要なことですので忘れないようにしましょう。

STEP1 辞意を伝える(退社1~3ヶ月前)

辞意を伝える

辞意、つまり退社の意思を伝えるにあたって今日明日ということでは円満退職の仕方とは程遠いでしょう。転職などで既に入社日が決まっているという方であれば、尚更に早く連絡することが重要です。

退職の意思を伝えるのは、まず直属の上司になります。これも円満のポイントです。上司の上司などに報告すると、直属の上司の方の管理責任に疑いを持たれる可能性があるからです。上司からは引き留めをされる可能性もありますが、引きとめに負けず、確固たる意思で退社の意を表明しましょう。但し、退職の理由がその直属の上司にある場合は少し話しが複雑かもしれません。辞意を取り合ってもらえない場合も考えられるからです。例えば、理由は他に置き換えて相談をするか、それでも取り合ってもらえないようであればその上司の上司へ辞意を伝えることがよいでしょう。

STEP2 退職日を決める

退社の意思を伝え了解が得られたら、上司と退職日について相談します。退職後の自分の予定と、引継ぎや取引先などへの挨拶にかかる時間、会社側の業務上の都合を考えて、お互いが納得できる退社日、退職までのスケジュールこそが円満退職のポイントです。また、このときに状況に応じて自己都合退職か会社都合退職かの相談も行ないましょう。

民法上では、退社、つまり労働契約の解除については、書類(退職願・退職届)の提出から14日後とされていますが、就業規則において退社日について1ヶ月前に申告することとある場合は、そちらに倣うのがよいでしょう。つまり、上司と退社日について相談するために退職の意思を伝えるのはそれよりも前である必要があります。

STEP3 退職願・退職届の提出(退社1ヶ月前)

上司と相談し、退職日が決定したら、会社宛に退職願、あるいは退職届を提出します。法律上では退職日14日前で、多くの場合は就業規則で1ヶ月前までには提出するよう定められているかと思いますので、事前に確認し、いざこざが起こらないよう期限までに提出しましょう。

STEP4 引継ぎ・挨拶(退社1ヶ月前~3日前)

引き継ぎ

退職願いを提出したら、いよいよ引き継ぎです。引継ぎは書面にて準備しておくことが大事です。内容にも漏れが無いようにしましょう。退職後、業務内容について連絡がくるというケースもあるようですので、そのようなことが無いよう、引継はしっかり行ないましょう。また、自分の後任者を得意先へ紹介することも重要な引きつぎです。得意先には心配をかけないよう、後任者をしっかりアピールすることも重要です。

退職日についてはこちらの記事でご確認ください。

退職最終日当日は挨拶とお菓子配りを忘れずに!

返却するもの・受け取るもの

保険者証や名刺、制服など退職時に会社へ返却をするものと、雇用保険被保険者証、年金手帳、源泉徴収票など会社から受け取るものは事前に確認しておき、必ず忘れずに返却・受け取りを済ませましょう。

会社に退職を伝える際の退職理由は労働時間や待遇にしない方がいい

会社に退職を伝える際にしっかり考えておくべきことが退職理由についてです。退職届などの書面上は「一身上の都合により」で片付きますが、対面して退職理由を話す際にはそうはいきません。

この場合、退職理由は必ず個人的なものにするように心がけてください。

その理由は、「労働時間」や「待遇」など、会社側の問題であれば会社側の改善によって退職理由を無くしてしまうこともできるからです。本当で有能で引き留めたいと会社が願えば、思った以上に条件の改善が行われるケースもあるのです。

退職理由は個人的なものにする

個人的な理由とは、「家業を引き継ぐため」「高齢の両親の介護のため」「将来の夢の実現のために勉強がしたい」などが該当します。必ずしも事実である必要はありませんが、何度、誰にどのように追及されても回答がブレないように、しっかり詳細まで考えておく必要があります。

退職理由があいまいだと、退職についてしっかり考えていないと受け止められますし、退職自体はある程度受け止められても引き留め工作を受ける余地を作ってしまいますので気を付けてください。

会社に退職を切り出すベストタイミングは?忙しい時期や時間は避ける

会社に退職を切り出す準備ができたら、まずは直属の上司に切り出すのが基本です。しかし、とにかく伝えれば良いのではなく、上司にしっかり気持ちを聞いてもらい、周囲に情報が漏れないようにタイミングを見計らう必要があります。

退職についての話を切り出すタイミングは、就業時間外が望ましいです。就業時間中は、どうしても仕事に集中する必要があるため、「今は忙しい」と退職の話がすぐにできないことが多いからです。特に上司が忙しい時期や時間は避けるように配慮しましょう。上司が味方になってくれるかは、その後の手続きのスムーズさに大きく影響しますので、上司の印象を損ねないよう注意します。

話を切りだすタイミングは就業時間外が望ましい

どうしても就業時間外で時間が取れない場合は、就業時間中でも可能ですが、相手の様子をよく伺いながら大丈夫なタイミングで、二人きりで話すようにしましょう。

なお、就業時間外とは言え、お酒の席や食事の場などで話してしまうと、軽い気持ちで話していると受け止められることもあります。あまりくだけすぎるのも良くないので、できるだけフォーマルな形を演出して真剣さを伝えましょう。

退職タイミングのおすすめは?最良の時期を見極めよう

円満に会社に辞められる退職を切り出す際の6つのマナー

退職するなら、できるだけ円満におだやかに会社を辞めたいものです。会社側に退職について切り出す際にもマナーがありますので確認しておきましょう。

1.退職は一番先に直属の上司に切り出す

いきなり人事や経営者に対して退職届を出すようなことは、企業規模が小さい場合以外はまずありません。なぜなら、自分が抜けることによって業務上直接影響を受けるのは同じ部署のメンバーであり、その責任者である上司だからです。そのため、退職時期や引継ぎの計画を立てる上でも、まずは直属の上司に相談するのが正しい順番です。

2.メールでの退職の意志を伝えてはいけない

退職について相談する際には、メールではなく口頭で直接伝えるようにします。メールだと一方的な意思伝達に取られてしまい、周囲との関係が悪くなってしまうことがあります。また、必要な相談も進みませんので、必ず直接の対話の中で進めるようにします。

3.退職を切り出すときは退職を匂わせる伝え方はしない

上司に退職について切り出す際に、「今後のことについてご相談があります」など、退職を匂わせるような切り出し方はしない方が無難です。下手に匂わせてしまうと、相手側に準備をする時間を与えてしまい、時には人事や周囲の同僚などと結託して引き留めが始まることもあります。また、「相談があります」という表現自体も相談の余地があるかのように思われるため避けた方が無難です。「お耳に入れたいことがあるのですが、今よろしいでしょうか?」と、すぐに時間を奪うことが大切です。

退職を切りだすとき退職を匂わせない

4.退職を伝える場所は周囲に人がいないところが基本

退職についての話は、不必要に広がってしまうと動揺を誘うことになりますので、周囲に人がいないところで行うのが基本です。会議室を事前に借りておいたり、社外に出て話すなど工夫しましょう。

5.退職を切り出すときはあくまで柔らかい態度で話す

退職についての話になると、後には引けないとの思いから口調が強く、荒くなってしまう人もいますが、それは相手を感情的にしてしまいますし、いい印象を与えることもありません。柔らかい態度を貫きつつ、ハッキリとした意思をもって伝えましょう。

6.退職した後の転職先については聞かれても告げない

基本的には転職先が決まっていたとしても告げないほうが無難です。転職先についてのネガティブな情報を流布してきて、退職・転職への気持ちを揺らがせたり、また転職先の企業に働きかけるケースも稀ですがあります。退職したい意志があるなら絶対に告げないようにしましょう。

退職を切り出したのに会社から引き留めを受けたらどう対応するべき?

退職時に引き留めがあるのか気になる人は多いです。実際、引き留めはよほどのことがなければ行われるものですが、辞めたい気持ちで退職を切り出したのですから、基本的には断ります。

一度退職の意思を伝えると、その後は同じ環境で仕事がしにくくなりますし、また周囲からも腫れ物に触るような態度を取られる可能性もあります。一時的には引き留めても、裏で後釜を探して育てておいて、気づけば人員整理のリストに入ってしまっていたという例もありますので、退職の意志を伝えたらまず引き返さないことです。

引き留めがあれば、それはありがたいことと受け止める一方でハッキリ断りましょう。今までお世話になった事や、評価してもらえて嬉しいということをしっかり伝えた上で断られると、相手もなかなかそれ以上は難しいと思うものです。

引き止めがあったらハッキリ断る

家族に対する退職の切り出し方は雑にならないように注意

退職について切り出さなければならないのは会社だけでなく、家族がいる人なら家族に対しても相談する必要があります。自分が生計を担う中心であれば、それだけ家族に与える影響も大きくなりますから、会社よりも先に切り出しておく必要があります。

退職をするということになれば、家族にも様々な不安を与えてしまうため、退職の目的や再就職の計画などをしっかりと伝えておくことが必要です。必要に応じて両親にもちゃんと報告しておきましょう。

もしも家族から反対されてしまうと、たとえ会社を辞めて再就職ができたとしても、後々まで不満を残し、信頼を損ねてしまうことになりかねません。「しっかり働いて実績で示せばよい」というのは、もともと信頼がある人なら良いですが、そうでない場合は反感を買うだけですので、事前にしっかりと説明しましょう。何より、普段からのコミュニケーションと信頼関係の構築が大切です。

円満に退職するには退職の切り出し方もしっかり準備しよう

退職の際にはその前に様々に準備しておくべきことがありますが、退職の切り出し方ひとつを取って見ても、退職理由や家族の了解など、会社に切り出す前に準備しておくものがたくさんあります。意外とやるべきことは多く、仕事もしながら、有休の消化を考えながらだと日数は少ないものですから、しっかりと準備してひとつひとつ進めていきましょう。