回覧文書の作り方と覚えておくべき回し方のルール

回覧文書は、会社内の伝達事項を知らせるためになくてはならないものですが、その回し方のルールや書き方について、理解できている新入社員は少ないでしょう。知っておくべき回覧文書のルールと書き方を解説します。

回覧文書の作り方と覚えておくべき回し方のルール

社内でみんなに回覧する回覧文書の種類

会社に勤務していると、日々さまざまな内容の回覧文書が回ってくるのを目にすることがあるでしょう。回覧文書とは、社内における通知事項や共有したい資料を、通知内容や共有内容に関係する社員の間で回覧する社内文書のことを指します。

社内文書の束

回覧文書にはさまざまな種類があります。ここではまず、知っておくべき会社の回覧文書の種類について紹介します。

部署内および関係する社員への通知文書

業務上の連絡や、また社内イベントの詳細を伝えたり、参加を促したりする回覧文書です。関連する部署や社員に対して通知されます。

会社の決定事項を社員へ通達する文書

就業規則の変更事項や、人事異動など社員全員が必ず知らなければならない重要な決定事項を通達する回覧文書は、全社員宛てに一斉にされます。

会議などの議事録を共有するための文書

会議での決定事項を共有するために議事録にまとめ、会議への出席者や関連する社員に向けて発信する回覧文書です。

回覧文書の回し方には3つのルールがある

回覧文書の回し方には、会社それぞれにルールがあるので、新入社員はわからないまま適当に回すのではなく、先輩社員に質問して教えてもらうことをおすすめします。

新入社員が悪気なく知らず知らずのうちに、会社のルールを無視したかたちで回覧文書を回してしまうと、「協調性のない新入社員」、「仕事のやり方も適当なのではないか?」といった不名誉な印象を上司や先輩社員たちに与えてしまうおそれがあります。一般的な回覧文書の回し方のルールについてご紹介します。

1.社内や部署内で決められている回覧文書の回し方ルールに従う

デジタル化した回覧文書の回し

回覧文書の回し方は、会社によってさまざまです。メールやイントラネット(会社組織内でのみ閲覧できるプライベートネットワーク)にて共有されるなど、デジタル化が進んでいます。一方で、掲示板に文書を掲示して閲覧した人にサインをさせたり、回覧文書を文字通り手渡しで回したりするなど、アナログな回覧のやり方もいまだよく行われています。

完全にデジタル化している会社、また完全にアナログな方法を選択している会社、伝達事項によってアナログとデジタルを使い分けている会社など、さまざまです。

どのような回覧文書の回し方にも、その方法を選んでいる理由や歴史があるはずです。新入社員はまず、先輩社員に質問するなどして、自分の勤務する会社における回覧文書の回し方のルールを把握しましょう。

2.自分のところで止めないですみやかに回覧する

手渡しで回覧文書を回す際に最も大切なのは、自分の手元に渡ったらすみやかに閲覧して次の人へ回すということです。これは、いずれの会社であっても共通するルールと言えるでしょう。

回覧主は、できるだけタイムラグなく対象の社員に回覧文書が回り、情報を共有することを求めています。「今は仕事が忙しいから、回覧文書を見ている暇はない」と考えて、自分のところで止めてしまうのはNGです。

どうしてもすぐに見る時間がない場合は、回覧文書にサインをせずに他の人へ回し、後から自分にもう一度回ってくるようにしましょう。

3.不在者は飛ばして次の人へ回覧する

回覧文書を確認し、次の人へ回す際も注意が必要です。出張や外回りに出ていたり、欠勤していたりする社員の席に何も考えずに回覧文書を置いてはいけません。その社員がすぐに戻らないかぎり、回覧文書はそこで止まってしまいます。

次に回したい相手が席にいないときは、お手洗いですぐに戻ってくるとわかっているような場合を除き、不在者の順番を飛ばして回覧文書を回すのが鉄則です。

回覧文書の基本的な書式と書き方のポイント

回覧文書は、回ってくるだけではなく、いずれは回覧主として自分で作成して回さなければならない機会が訪れます。日頃から回覧文書を閲覧していても、いざ自分で作るとなるとどうすればよいかわからなくなることが多々あります。そのようなときに焦ることがないよう、回覧文書の基本的な書式と書き方のポイントについて解説します。

会社独自のフォーマットの有無を確認する

回覧文書のフォーマットがある

回覧文書を作成するにあたって、まずは会社独自のフォーマットがないかどうか、確認をとるようにしましょう。先輩社員に質問するのもよいし、総務部など主に回覧を回している部署に尋ねるのもよいでしょう。

WordやExcelなどのフォーマットが存在していれば、回覧文書を一から作成する必要がなくなり、時間短縮になります。また、フォーマットがあるにもかかわらず、独自に作成してしまうと、必要事項が抜けていたり、社員が見慣れたものとは異なるため読みにくい回覧文書になってしまったりするおそれがあります。

会社としてのフォーマットがない場合は、先輩社員などが今まで作成したものを支給してもらうことをおすすめします。

一目で用件がわかるタイトルを付ける

どのような連絡事項の回覧文書であるのか、一目でわかるタイトルを付けます。就職語句を使わずにシンプルに書くのがポイントです。

回覧文書の作成日を明記する

いつ発表された伝達事項であるのかわかるように、回覧文書の作成日を必ず明記します。西暦で書くのか元号で書くのかは、社内のルールに従ってください。

職制名を宛名にする

「関係者各位」や「営業担当各位」「営業部御中」といったように、職制名を宛名にします。ここで個人名をひとつひとつ挙げる必要はありません。

挨拶を省略する

挨拶文はいらないと教える先輩社員

通常のビジネス文書では、「早春の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」といった「時候の挨拶」が必要となっています。また、社内メールであっても「お疲れさまです」といった挨拶を必ず入れているでしょう。しかしながら、社内の回覧文書において挨拶は不要です。挨拶は省略して、すぐに本題に入りましょう。

丁寧語、敬語は最低限に抑える

回覧文書で大切なのは、いかに簡潔に用件を伝えるかです。用件を伝える以外の情報の記載は求められていないということです。つまり、「よろしくお願い申し上げます」といった敬語は無駄に文章が長くなるだけなので不要です。

箇条書きを利用して情報を別記としてまとめる

社内行事の実施詳細連絡などをはじめとして、回覧文書で伝達する内容は、箇条書きにするとわかりやすいことが多いです。日時、場所などを箇条書きにして情報を別記としてまとめるようにしましょう。

添付文書内容を記載する

地図や資料など添付文書がある場合は、確認漏れを予防するためにその内容について回覧文書本文に説明を記載しましょう。

回覧期限を設定のうえ明記する

回覧文書を読む女性社員

ビジネスシーンにおいては、期限のないものは後回しにされてしまっても仕方がありません。回覧文書を回す際は、いつまでに対象者全員が確認のうえ、回覧主までに戻す必要があるのか、回覧期限を設定のうえ、明記することが不可欠です。

社内イベントの出欠確認など、必ず情報を把握したい締め切りがあるような場合は特に、余裕を持って早めに回覧期限を設定して回覧文書を回すようにしましょう。

本文は最後に「以上」と書いて締める

回覧文書の本文は「以上」で締めるのが定型となっています。書かなくても問題はありませんが、「以上」で締めた方がすっきりとした仕上がりになります。

回覧文書の末尾に回覧主の部署と名前を明記する

回覧主である自分の部署と名前を明記します。回覧内容について不明点があれば問い合わせしやすいように、内線番号などをあわせて記載しておくとなおよいでしょう。

回覧対象者が閲覧したことを確認するために名前リストを添付する

回覧文書は、対象者全員が閲覧したことを確認できることと、誰が確認したのか回覧者が把握できることが大切です。必ず対象者の名前が入った回覧リストを添付し、閲覧済みの人はサインとして次の人へ回す仕組みにしましょう。

回覧リストを付けなかった場合、社内のどこで回覧文書が止まってしまっているのか、誰までは閲覧したのかを把握することができなくなってしまいます。

社内で回す回覧文書の例文

社内のみんなに回す回覧文書の例文をご紹介します。

社員旅行に関して伝達する回覧文書の例文

社員各位

平成○○年○月○日 作成

社員旅行の件

社員旅行について下記の通りお知らせします。

日時:平成○○年○月○日(〇)~ ○月○日(〇) 1泊2日
目的地:〇〇観光ホテル
ホテル住所、電話番号
集合日時:平成○○年○月○日(〇)〇時
集合場所:〇〇駅北口ロータリー
※集合場所については添付①の地図をご確認ください。
返信期限:平成○○年○月○日
※添付②に出欠を記入のうえ総務部●●まで戻してください。

以上

担当者:総務部 ●●●●(内線番号###)

回覧文書の書き方と回し方からビジネス文書の基本を学ぼう

ビジネス文書にはさまざまな種類がありますが、社内の回覧文書は新入社員が一番初めに取り組むビジネス文書として最適です。情報を誰が読んでもすぐに理解できるように工夫して発信するスキルは、回覧文書のみならずあらゆるビジネスシーンで必要となります。

日頃から、社内文書の書き方を注意して確認するようにしたり、機会があれば積極的に回覧文書を作成して回したりすることで、ビジネス文書作成の基本を身に付けていきましょう。