タクシーの上座下座マナー新入社員が果たすべき4つの役割は

タクシーにも上座、下座があります。社会人になると、上司と一緒にタクシーに乗る機会が出てきます。いざというときに新入社員があたふたすることがないよう、ビジネスシーンにおけるタクシーの乗り方マナーのポイントを解説します。

タクシーの上座下座マナー新入社員が果たすべき4つの役割は

タクシーの上座と下座はどこにある?

社会人になると、商談へ向かう際や出張先などにおいて、上司と一緒にタクシーに乗り込む機会が出てくることもあるでしょう。タクシーの乗り方にも、独自のビジネスマナーが存在します。その一つが上座・下座です。

会議や会食における上座・下座と同様に、タクシーの上座・下座も社会人として知ってくべき一般常識とされています。ビジネスシーンにおいてタクシーに乗りこむときは、バタバタと忙しくしている状況が多いため、迅速に乗りこむ必要があります。

新入社員が本番で焦ったり混乱したりすることがないよう、タクシーの上座と下座をはじめとしたビジネスマナーをまずは頭に入れてください。

タクシーの上座は後部座席の運転手さんの真後ろ

タクシーの上座と下座

タクシーにおける上座は後部座席の運転手さんの真後ろになります。なぜ運転手さんの後ろの席が上座になるかというと、事故が起きた際に最も安全な席であるからです。一番役職の高い上司を、上座である運転手さんの後ろの席に座るよう誘導しましょう。

クライアント企業の担当者が同乗する機会もあります。その場合は、当たり前ですが上座には自社の上司ではなく、クライアント企業の担当者に座ってもらうべきです。うっかり上司を上座に誘導してしまうと、とても恥ずかしいことになるでしょう。

上座の次は、助手席の後ろの席になります。三人で乗る際は、二番目に役職の高い上司を助手席の真後ろに当たる後部座席に誘導しましょう。

タクシーの下座は助手席

車の席次

タクシーにおける下座は、助手席となります。助手席は、事故の際に最も危険な席です。助手席に座った人が果たすべき役割も多いため、新入社員が座るべき下座となっています。

4人で乗る場合は、1番が運転手さんの真後ろ(上座)、2番目が助手席の真後ろ、3番目が後部座席の中央、4番目が助手席という席次になります。

タクシーに乗りこむ順番は上座から

基本的には、上座に座る上司から先にタクシーに乗りこみます。しかしながら、状況によっては地位の高い人から順番に乗るとは限らないことがあります。

具体的には、4人で一つのタクシーに乗る場合がこの例外に当てはまります。席次に従って乗り込む場合、助手席の真後ろに座ることになる2番目に役職の高い上司よりも先に、後部座席中央に座るべき社員が上座の上司に続いて乗りこむ必要があるということです。

タクシーで助手席が果たすべき役割

新入社員のうちは、上司と一緒にタクシーに乗る際には、下座である助手席に座ることがほとんどになるでしょう。上司を上座である後部座席に無事に誘導し、自身も助手席に座ったからといって、安心してしまってはいけません。

ビジネスシーンで利用するタクシーにおいて、助手席に座った人が果たすべき役割をしっかりと頭に入れておいてください。

1.タクシーの運転手さんへの道案内

タクシーの運転手さんへの道案内

助手席に座った人の大きな役割が、タクシーの運転手さんに目的地を正確に伝えることです。加えて必要となる場合には、目的地までの道案内をしたり、希望するルートを伝えたりします。

何時までに目的地に到着したいと思っているのかといった情報も伝えつつ、スムーズに目的地に到着するよう、助手席から運転手さんをサポートするとよいでしょう。

2.タクシーの運転手さんの話し相手になる

タクシーの運転手さんの中には話好きな人が少なからずいます。タクシーに乗った人みんなで話が盛り上がるのであれば全く問題ありませんが、上司が疲れていてタクシーの運転手さんの話に相槌を打つのが億劫になっている様子が見受けられるシーンに出くわすこともあるでしょう。

そのような場合、下座である助手席に座った人が、タクシーの運転手さんの話し相手に積極的になりましょう。助手席に乗った社員がタクシーの運転手さんとほがらかに会話していれば、上座である後部座席に座った上司は安心して身体を休めることができるはずです。

「上司が疲れているのと同様に、新入社員である自分も疲れているのだ」という意見はごもっともですが、“だんまり”を貫いてしまっては、タクシーの運転手さんにも失礼です。上司も自分が話をしたほうがよいのかと気を遣ってしまうという悪循環に陥ります。

出会った人と明るくコミュニケーションをとることは、ビジネススキルにも通じます。タクシーの運転手さんが特に話をしなくても、「今日はいい天気ですね」の一言を加えるなどすることで、タクシーの車内の雰囲気を心地よいものにするのも、新入社員の仕事の一つと考えましょう。

3.運賃の支払いと領収証の受け取り

タクシーの脇に立つ社員

助手席に座った新入社員は、タクシーが目的地に着いたら、上司には先にタクシーから降りてもらって、運賃の支払いをするという役目を担っています。

支払いの場面を想像すれば、上司と自分の二人でタクシーに乗る場合も、自分は後部座席ではなく助手席に座るべきであることが容易に理解できるはずです。もしも、助手席の後ろに自分が座ってしまうと、運賃の支払いをしている最中に、上座に座っている上司はそのまま待機しなければならないからです。

なお、ビジネスシーンにおけるタクシーの利用は、会社の経費として精算することになります。新入社員は焦って領収証を受け取り忘れることが多いので、忘れずにしっかりと受け取りましょう。

4.タクシー会社名やナンバーをメモに控えておく

スマホでタクシーのナンバーをメモる

タクシーには忘れ物が多いというのはとても有名な話です。スマートフォンや財布を座席に置いて行ってしまったり、自宅のカギを座席の下に落としていってしまったりはよく起こることです。特に、複数人で一台のタクシーに乗ることの多いビジネスシーンでは、会話に気をとられて車内に忘れ物をしがちです。

上司が後から「タクシーに〇〇を忘れてきてしまったかもしれない」と言い出したときに、すみやかに問い合わせができるように、乗車したタクシーの会社名とナンバーを控えておくことをおすすめします。

もしもの事態を想定した対応ができていれば、問題にすみやかに対処できるうえ上司からの評価もアップし、まさに一石二鳥と言えるでしょう。

上司が一緒のタクシーでこんなときどうする?

実際に上司と一緒にタクシーに乗ると、思いがけない状況に陥ることがあります。上座・下座と言ったビジネスマナーをしっかりと覚えておくことは大切ですが、がんじがらめになって柔軟な対応ができないようでは困りものです。上座・下座の基本的なマナーはふまえつつも、同乗する上司の都合や希望を第一に、臨機応変に対応していくことを心がけましょう。

上司が上座を断った場合

上司を上座に誘導しようとすると、「先に降りるから、自動ドア側に座らせてもらうよ」と断られてしまうこともあるかもしれません。そのような場合は、上座をかたくなに主張せずに、上司の希望を最優先にして対応しましょう。

運転手と上司が車中で会話をする必要がある場合

こちらはタクシー以外のパターンなので例外ですが、ご紹介します。会社の営業車や自家用車などで、社員の誰かが迎えに来て、上司を含む数人で乗り込むような場合と想定します。

運転手を務める人と、本来上座に座るべき上司の仲が良く、社内で会話を楽しんでもらいたいようなときは、さりげなく上司に向かって「〇〇部長、もしよろしければ助手席におかけになりますか?」とうかがってみるとよいでしょう。

仲が良いというパターンだけではなく、運転手を務める人と上司が車中でも打ち合わせをする必要があるときも同様です。単純に上司がタクシーのルートにこだわりがあって自分で指示を出したいような人の場合も、助手席に座ってもらうほうがスムーズになると言えます。

上座・下座というビジネスマナーにとらわれるあまり、不便な座り方になってしまわないよう、場の空気を読んで臨機応変に対応するスキルが求められています。

タクシーマナーには臨機応変な対応が求められる

タクシーの上座と下座、乗る順番といった基本的なビジネスマナーを押さえておくことは、新入社員にとって不可欠です。マナーを覚えて、実際に上司とタクシーに乗る際に、スマートな対応で上司を上座に座るよう誘導してから自身も助手席に乗りこみ、道案内にうつることができれば合格と言えるでしょう。

しかしながら、タクシーのビジネスルールは上座・下座といったわかりやすいルールだけにはとどまりません。社会人として最も大切なのは、上司をはじめとした同乗する人全員のキャラクターと関係性をしっかりとつかみ、個々の事情に合った柔軟な対応をすることです。

タクシーに同乗している人全員に敬意を持って、誰もが心地よく車内での一時を過ごすことができるよう、心配りができる社会人を目指してみませんか。