職業/働き方

ゼネコンの仕事内容とは?勤務体系や魅力と苦労

ゼネコンの仕事内容や勤務体系の特徴はあまり知られていません。言葉は広く認知されており、詳しくなくてもゼネコンが建築関係だと分かる人は多いでしょう。回復傾向にある景気から、建築業界は追い風が吹いています。基礎知識や社会的役割、仕事内容など、ゼネコンについて役立つ情報をご紹介します。

ゼネコンの仕事内容を徹底解説!

近年、景気の回復傾向や東京オリンピック開催決定など、建設業界には追い風が吹いている状況にあるため、ゼネコンへの就職希望者も増加しています。しかし言葉としては認知されているゼネコンですが、実際の仕事内容や勤務体系などの情報はあまり知られていません。

ゼネコンの基礎知識や社会的役割、仕事内容、年収など、役立つ情報についてご紹介していきます。

ゼネコンとは

そもそもゼネコンとは「General Constructor(ゼネラル コンストラクター)」の略称で、日本語では「総合建設業」を表す言葉です。会社が自ら建設等を行うのではなく、建設・土木工事を希望する施主から仕事を受注して高層ビルやホテル、道路などを完成させていきます。

ゼネコンの中でも大きな会社になると、生活を送るうえで欠かせない学校や医療施設、生きていくために必要な橋やダムといった社会インフラを建設するので、ゼネコンは社会にとって欠かせない職種といえます。しかし1社が全てを担う訳ではなく、事業提携している他の会社や事務所と協力したり下請けに出したりします。

また、大きな会社になると他の業界の大企業同様に様々な部署が設置されますので、土木科や建築科出身じゃないと採用されないということはありません。

ゼネコンの主な仕事内容とは

ゼネコンが建築関係の仕事だということはわかるでしょうが、具体的にどのような仕事があるのか説明できる人は多くありません。この項では、ゼネコンの主な仕事内容についてご紹介します。

ゼネコンの仕事1:営業

ゼネコンは請負業者ですので、発注者からの依頼が無ければ仕事が始まりません。重要な仕事の1つとして「営業」があり、発注者との窓口を担っています。発注者の要望を聞いて、関連部署と連携・折衝を行いながら企画書を作成します。

他の業種に比べて1つの仕事で動く金額が大きく、スケール感の大きな仕事に感じるでしょう。しかし裏を返せば、それだけ責任の重い仕事でもあります。営業が仕事をとれないと、自分の会社だけでなく下請けや孫請けまでもが追い込まれてしまいます。土木や建築の専門知識はあまり必要ないとはいわれますが、人脈作りや人付き合いがとても重要です。

ゼネコンの仕事2:設計

設計の仕事はただ建物をデザインするだけでなく、使う人の利便性を考えたり周囲の景観との馴染みやすさに配慮したりして設計します。発注者の希望を苦労しながら叶えたデザインが、実際に目に見える形になっていく仕事なのでやりがいも大きい仕事となります。設計部門に就くには設計士の資格が必要になります。

会社によって設計部門があるところと、無いところがあります。後者は会社が提携している設計事務所に仕事を依頼します。また基本的には内勤ですが、監理などのために現場に行くことも少なくありません。

ゼネコンの仕事3:施工管理

ゼネコンが取り扱う案件は一般の住宅建設等とは違い、多くの下請け企業や専門業者が関わってきます。そのため発注者が希望するスケジュールになるべくそうに、工程を調整していかなくてはなりません。施工管理は、品質を保ったままどう発注者が希望するスケジュールを叶えるかを考えていくほか、現場で働く多くの作業員の管理も大切な仕事です。

ゼネコンの仕事4:設備

設備の仕事は建築物の完成後、そこを利用する人々が快適に過ごせるようにエレベーターや空調、電気などの設備の配置を考えます。設備には専門的な知識が要求され、管工事施工管理技士やガス機器設置スペシャリスト、空気調和・衛生工学会設備士といった資格が必要になります。

ゼネコンの仕事5:研究開発

ゼネコンの各部門の中で、最も専門性が求められます。そのゼネコンだけが持つ技術や工法の開発、新しい資材の研究など、他者との差別化を図って顧客を増やすためにも必要な仕事です。多様なニーズに応えるためにもどのゼネコンも日々研究しており、多額の投資を行っています。

ゼネコンの仕事6:現場

「ゼネコンの仕事1~5」の仕事の仕上げが、現場における業務です。自社の社員だけでなく、いくつかの提携している業者や下請け会社等と協力して完成させるのが普通です。安全第一に、他社の社員との協調性や工期内に完成させるためのマネジメント能力が求められます。

ゼネコンの年収

ゼネコンに就職した場合、どれくらいの年収になるかについて解説していきます。給与は就職先のゼネコンがどれくらいの規模なのかによって、大きく変わってきます。建設業界の平均年収は600万円前後です。

ゼネコンは大きく4つに分類でき、それぞれ規模の大きい順に「スーパーゼネコン」「準大手ゼネコン(ゼネコン)」「中堅ゼネコン(サブコン)」「主要ゼネコン」と呼ばれます。ゼネコン業界は他業界に比べて平均年齢が高い為、平均年収も比例して高くなる傾向にあります。また、売り上げや利益が高いほど平均年収も高くなるので、ゼネコン本体の規模によっても年収に差が出てきます。

最大規模のスーパーゼネコンの場合、平均年収は800万円を超え、30代でも年収500万円を超える方もいます。準大手では平均700万円程度、中堅では600万円程度が平均年収となります。

ゼネコンの勤務体系はどうなっているのか

ゼネコンの勤務体系は、仕事内容によって違います。8:30から17:30が仕事の会社が多く、内勤であれば基本的に設定された時間通りに働きます。しかし現場で働く外勤の方は、早めに始まりその分早く終わることがあります。また、営業部門は相手企業の都合に左右されますので、時間外に仕事をしなくてはいけない場合もあります。

休日も同様に、内勤の場合は休日出勤が少なく土日が休みの所が多いです。対して外勤の休日は日曜のみ休みという企業も多く、工期が遅れてしまっている場合などは休日出勤になることもあります。

長時間労働・サービス残業が横行しているブラック企業も存在しますが、全てのゼネコン会社がそうではありません。しかし現場監督など、人をまとめる立場になると残業が増えてしまうことがあります。

ゼネコンの魅力とは?

ゼネコンにおける仕事のやりがいは何といってもそのスケールの大きさです。営業ならば、発注者の要望もとに企画した提案書が採用されれば、他の業界の営業とは比べものにならないほどの金額が動くことになります。

設計・施工も、自分の設計した建造物が実際に街中に造られたり、人々の生活を支えていたりすると何とも言えない満足感を覚えます。実際に作る工程を管理し、多くの人を工程に沿って動かすという仕事もかなり大がかりなものであり、完成したときのチームとしての達成感は計り知れないものがあります。

研究開発は各ゼネコンとも多額の投資をしていますので、その研究開発が1つの成果となった時の達成感は大きなものとなります。さらに研究成果によって他社との競争において一歩先を行くことができれば、充実感はさらに大きなものになります。

ゼネコンで大変なこととは?

ゼネコンの仕事はスケールが大きく、動く金額や人員の数も大きくなるため苦労も大きなものがあります。営業でいえば、多額の金額が動くため、簡単には発注を受けられません。場合によっては、入念に時間をかけて作り上げた企画であっても、他社に落札され水泡に帰すこともありうるのです。

設計・施工についても同様で、いくら設計側が良かれと思ったアイデアであっても、施主が気に入らなかったり予算の都合で実現できないことも多々あります。また、施工についていえば、人が多く集まる現場ですので、人間関係のトラブルが発生することもあり得ますし、自然現象によるトラブルなどで工期が遅れ、思ったように作業が進まず責められることも考えられます。

研究開発においては、こちらのアイデアが他社によって模倣されたり、さらに良いアイデアが出されることによって、後塵を拝することも考えられます。常に新しいものを開発し、他社に先んじていかなくてはならないというプレッシャーも付きまといます。

ゼネコンは、今、注目されている仕事

ゼネコンは総合建設業の略称とされ、景気回復による新規建設の増加や東京オリンピックの開催決定などの影響もあり、就活生からも非常に注目されている業界です。また、比較的年収も高く、職種によっては専門知識や資格が必要ない場合もあります。そんなゼネコンの仕事内容や年収・やりがい等の情報を知ることにより、就職希望先の候補の1つにしてみませんか。