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ジョブローテーションの目的とは?行うメリットを知ろう

ジョブローテーションとは何かについてご説明します。ジョブローテーションをする目的や、それをすることによるメリットとデメリットについて解説します。また、海外におけるジョブローテーションについても触れます。

ジョブローテーションはさまざまな企業が取り入れている制度

ジョブローテーション制度は、昨今ではもう珍しくないものとなっています。そのため、耳にしたことがある人も、実際に体験したことがある人も多いでしょう。

広がりを見せているがゆえに、ジョブローテーション制度を取り入れる企業の狙いや、その実態について知りたいと考えている人も多いのではないでしょうか。この制度が企業にとって、また、社員ひとりひとりにとって、どのように作用しているのかについて詳しく考えていく必要があると言えます。

キャリアを積んでいく上で、こういった制度はとても魅力的に映ります。どんどん取り入れていくべきだ、と考える人も多いかもしれませんが、その一方で良い面だけを考えても大丈夫なのか、と待ったをかける人もいるでしょう。

何らかの制度を取り入れる際には熟考が必要です。あらゆる方向から吟味していくべきであると言えるため、まずは詳しく紐解いていくことにします。

ジョブローテーション制度とは何か

ジョブローテーションとは、一定の周期で職場や部署の異動を行う制度のことを指します。

新入社員を含む社員をさまざまな部署にローテーションで異動し、より優れた人材を育成しようという試みです。ジョブローテーションは大多数の企業で取り入れられている制度であり、そのことからも社員や企業に対して良い影響を与えていることが窺えるものだと言えます。

社員は自分の専門分野ではない部署に配属されることになる場合もありますから、そこでは一から仕事を覚えることになります。そういった時に、改めてスキルを得ることができるのがジョブローテーションの利点のひとつです。

ジョブローテーションをする期間は企業によってそれぞれ違いますが、半年から数年が基本的な周期です。ジョブローテーションは長期雇用を見据えた人材育成のための制度であり、長く働き続ける中で企業にとっても社員にとっても必要な力を取り入れることができるようにするために考え出されたものであると言えます。

ジョブローテーション制度を取り入れる目的

企業がジョブローテーションという制度を導入するからには、必ずそこに目的があります。ここで3つの立場による目的を確認します。

新入社員にとっての目的

新入社員にとっては、色々な部署を巡り、その企業にはどういった業務があるのかを知っていくという目的があると言えます。

ジョブローテーションをすることで、新入社員は自分にどのような仕事が向いているのかを把握することができます。学生のうちには自分に向いている仕事がどういったものなのか、といったことはなかなかわからないものです。ジョブローテーションを通じて、実際に業務に触れ、自分に合った仕事を探すということができます。

採用する側にも、ジョブローテーションをすれば新人研修だけでは把握できない新入社員がどういった業務に向いているのかがわかるため、企業も社員も双方ともに安心することができます。また、優れた人材を育成することにも繋がります。

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幹部候補生にとっての目的

一方で、幹部候補生となる人たちもジョブローテーションの対象となります。ジョブローテーションをすることによって、人脈を広げたり、人事の実情を知ったり、実際に企業そのものの中でその部署がどのような立ち位置にあるかなど、俯瞰した視点を持つことが目的となります。

幹部候補生となる人たちは、多種多様に変化していく企業の実態を常に把握しておくための力が必要となります。ですから、そのための物事を見極めるスキルや、幅広い人との繋がりなどが大切であると言えます。

そういった点では、ジョブローテーションをすることで色々な部署を巡って経験を積んでおくことは将来とても役に立つことなのです。

共通の目的

共通することとしては、色々な部署でさまざまな業務に携わることで多くの知識を得るという目的もあります。ひとつの部署に留まっているだけでは知り得なかった情報も、ジョブローテーションをすることによって豊富に手に入れることができるようになります。

ジョブローテーション制度のメリット

ジョブローテーションのメリットは、何よりも広く柔軟な視点を持つことができるという点にあります。ジョブローテーションでいろいろな部署で経験を積むことによって、多角的な視点から、ひとつの問題を解決するために知恵を絞ることができるようになるという利点があります。

行き詰った時に、今まででは思いつかなかったことを考えられるようになるということは、ビジネスシーンにおいてはとても重要なことです。そういったことができるようになるのがジョブローテーションの効果だと言えます。

ジョブローテーションを終えてからどこかの部署に配属された後でも、専門的なスキルの他にも身についたものは必ず役に立ちます。ジョブローテーションはそういったプラスの作用をもたらしてくれます。それは自分の自信にも繋がりますし、実際に仕事の成果として表れます。

また、自分がどの部署で一番力を発揮できるかということがわかるのもメリットのひとつです。企業にとっても、優れた人材が最も活躍できる場所で力を奮ってくれるのは望むところでしょう。やりづらいと感じている仕事ではなく、思う存分働くことのできる仕事をしたいと思うのは当然のことです。

部署同士の交流が盛んになることもメリットのひとつです。そうすることで、社内全体の空気が良くなるからです。内側にこもっているだけだと、どうしても悪い習慣が生まれやすくなってしまいます。空気は定期的に入れ替えなければなりません。

そういった意味では、人脈を広げることができるジョブローテーションは最適であると言えるでしょう。横の繋がりを大事にするのも、企業の中では必要なことです。

そして、色々な部署を巡って活気を得ることで、自分もどんどん頑張って仕事をしようというやる気が湧いてくるというメリットもあります。少し自分の覇気がなくなっていても、ジョブローテーションでさまざまな部署で活躍する人たちに揉まれる中でモチベーションを高めることができるのです。

ジョブローテーション制度のデメリット

ジョブローテーションのデメリットとしては、スペシャリストを育成することが難しくなるということが挙げられます。幅広く知識を得られる一方で、ある分野に特化した専門家を育成することが難しくなってしまうのです。

それに、あくまでもジョブローテーションは広く浅く知識を得られるというものです。ひとつの道を究めることを目的としたものではありません。ですから、専門的な知識を深めたいと考えている人にとっては物足りないと感じられる制度だとも言えるでしょう。

また、蓄積してきた知識が半端なままでローテーションの期間が終わってしまえば、それまでの知識はあまり役に立つものではなくなってしまうかもしれません。ローテーションのタイミングにも気をつけておきたいところです。

そして、ジョブローテーションを行うにはそれなりの負担がかかるということもデメリットのひとつです。新しく異動されてきた人を指導するための指導員は、自分の仕事をこなしながら、それに加えて指導をしなければなりません。ジョブローテーションを行うことによって、社員にはそういった負荷がかかってしまうのです。

異動による引継ぎも簡単にできることではありません。送り出す側も、送り出される側も準備をしていかなくてはいけないため、それにも時間と手間を掛けなくてはいけないからです。そういったことを考慮すると、ジョブローテーションは簡単に行われるものだとは言えません。

ジョブローテーションをすると、ちょうど仕事が波に乗ってきた頃に部署を異動することになったりするなど、社員にとってあまり芳しくない事態が発生することもあります。企業側の判断だけで一方的にジョブローテーションを肯定するのは好ましくないでしょう。

海外ではジョブローテーション制度はない

日本は本来、終身雇用が基本的です。ですから、ジョブローテーションのような長期的に働くことを前提とした制度が必要とされています。

一方で、海外ではあまりジョブローテーション制度は採用されていません。海外においては終身雇用を待たずに、自分がその企業に馴染めない、またはもっと力を発揮できる企業があるはずだと考えたならば、すぐに転職をすればいいという考えをするのがメジャーだからです。

海外では、知識を得たり、スキルを磨きたいと考えたりする場合にも、同様に転職を考えるのが一般的です。ですから、ジョブローテーションのように、ひとつの企業の中でぐるぐると部署を巡って自分の番を待っているのは考え方に合っていないのです。

日本の終身雇用制が変わってきている中、この先ジョブローテーション制度がどう変わっていくかはわかりませんが、少なくとも今現在、既に外資系の企業はあまりジョブローテーションを取り入れていません。

ジョブローテーション制度はこれからの日本で変わってゆくかもしれない

ジョブローテーションは、その確かなメリットで日本の多くの企業を支えています。人材育成のためにも不可欠な制度として、今取り入れていない企業も導入を検討する可能性があります。ジョブローテーションをすることによって、企業そのものの活性化を図ることができるからです。

ジョブローテーションは日本の雇用制度が変化していく中でもなお広がりを見せています。そのことからも、日本の企業での働き方に合った制度なのだと言えるでしょう。

ジョブローテーションがこれからどれだけの企業に浸透していくかについて、じっくりと考察していく必要があるようです。また、この先の日本企業の多様化との兼ね合いにも注目したいところです。