職業/働き方

派遣社員とアルバイトの違いで理解すべき8つのポイント

派遣社員とアルバイトの違いとは?派遣社員とバイトは同じ非正規雇用の立場ですが、様々なポイントにおいて違いがあります。雇用形態により給与などの待遇がどう違ってくるのか、自分のライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。これから就活、転職活動を行う方はぜひ頭に入れておきましょう。

派遣社員とアルバイトの違いは大きい

様々な事情により正社員として働かない選択をする場合、派遣社員やアルバイトを検討する人もいます。ただ、その中には何となく「派遣社員よりもアルバイトは待遇が悪い」「アルバイトは気楽で派遣社員は大変」などと考えてしまう方も多いでしょう。

派遣社員とアルバイトでは雇用主や待遇面、契約期間など様々に違いがあります。これらをきちんと理解してこそ、後悔しない働き方を選択することができるのです。

1 雇用主

派遣社員は、まず派遣会社に登録して、派遣会社から企業に派遣されます。そのため、派遣期間中の直接の雇用主は派遣会社となります。派遣先を派遣会社が選定し、それに承諾すると派遣先での仕事が始まります。

アルバイトの場合は企業の直接雇用になりますので、雇用主はその企業です。よほどのことが無ければ、採用を行った事業所でそのまま就労することになります。

この雇用主の違いから、法律上の扱いや対応など様々な違いが出ています。例えば、お給料は派遣社員なら派遣会社が派遣先から報酬をもらってその中から労働者に支給されますし、アルバイトだと雇った企業から支給されることになります。問題発生時の対応や、労働者の監督責任なども違ってきます。

2 契約期間

「派遣社員はアルバイトよりも安定している」と考えている人は多いですが、一概にそうとは言い切れません。給与面では有利なことが多いですが、派遣社員は労働者派遣法により派遣契約期間が定められており、最長でも3年となっています(注1)。

一方、アルバイトでは雇用契約の期限がありません。もちろん、派遣業も契約を更新することによって継続して働ける場合もありますが、様々な手続きや条件があり、本人の意志が必ずしも反映されるとは言えません。

3 問題発生時の対応

就業中に何かの問題が発生した場合においても、その対応について派遣社員とアルバイトでは違いがあります。

基本的には「雇用主が問題に対処する」ことになりますが、アルバイトが問題を起こした場合には店舗や企業の責任者が問題を処理するのに対し、派遣社員が問題を起こした場合にはまず派遣会社に連絡し、派遣会社が派遣先企業や関係者との問題処理にあたることになります。

4 就業・退職時

派遣社員は「特定の業務において適切な人員が必要である場合」に採用されるため、その業務のためのスキルが充分にあると思われる場合に就業できることになります。また、派遣会社が派遣先を選定しますので、提案された企業に対して行く、行かないの選択をするのみで、自分で派遣先の企業を指定することはできません。

アルバイトの場合には、自分で就労する先を選ぶことができますし、また未経験でも採用されるなど、相手側のニーズがあれば非常に就労しやすくなっています。

退職する際には、派遣社員の場合はまず派遣元の会社に相談し、可能なら派遣先に交渉してもらって退職することになります。この場合、派遣会社は代わりの人を探したり、場合によってはペナルティが発生することもあるため、すぐに決定できないこともあります。

アルバイトの場合、本人が退職したいと思えば雇用主に直接話し、すぐにでも退職することが可能です。就業や退職のしやすさではアルバイトスタッフに軍配が上がります。

5 給与

給与について言えば、派遣社員とアルバイトでは給与の前提となる業務内容や時間も異なります。派遣社員の方がより高度なスキルや知識を求められる傾向があり、時給で400~500円ほど違うことも珍しくありません。

また、両者とも時給によって給与計算を行いますが、派遣社員は時間についても派遣契約によって決まった時間の労働が定められているので、それが確実に生じるのに対し、アルバイトの場合には他のアルバイトや本人の都合により労働時間に違いが生じます。そのため、給与は一般的に派遣社員の方が高く、安定している傾向があります。

6 福利厚生

福利厚生の面から見ると、派遣会社にもよりますが健康診断や福利厚生サービスの利用、スキルアップのための講座などを派遣登録者に提供している派遣会社が多く、年末調整なども対応してくれるのが普通です。

アルバイトの場合は給料以上のメリットがなかなか受けられず、様々な税務上の処理や保険・年金なども自分で処理をしていくことが多くなります。

7 働きやすさ

就業先にもよりますが、アルバイトの方が働き甲斐を感じたり、また働いていく中で職場への連帯感が高まる傾向があります。アルバイトは長く続けるほど職場への帰属意識も高まり、自発的に社員とのコミュニケーションが進みますし、会社も直接雇用しているため育成の意識も強くなります。ただし、職場によっては不当な待遇がずっと続くこともあり、介入も助けもない状態が続くこともあります。

派遣社員の場合はどうしても契約期間があって、いつかは職場を離れることになります。職場内でも「助っ人」という目で見られ、コミュニケーションも遠慮しがちです。業務上も一定の業務が決まっているため、助けたくても助けることができないなど制限も多く、何かとじれったく、寂しく感じやすいものです。職場での同僚との距離感が近いのは好きじゃないという人にとっては派遣社員がやりやすく感じるでしょう。

「アルバイトは身内、派遣社員はよその人」というと言いすぎですが、そういった認識や仕組み上の制限から、働きやすさには若干の差が出てくる場合があります。

8 働き方に融通が利くか否か

派遣社員にはアルバイトと比べて待遇面で有利な面が多いのは事実ですが、一方でアルバイトの長所としては働き方に融通が利くという点が挙げられます。

派遣社員であれば、ある程度の日数や時間働くことができない場合には中途解約される場合もありますが、アルバイトでは決まった時間の労働が義務付けられているわけではなく、また周囲との調整さえできれば日数や時間も都度調整が可能ですし、長期休暇を取得して、しばらくしてから復帰することも可能になっています。

そのため、主婦で小さい子供がいるような状況であれば、派遣社員よりも融通の利くアルバイトが良いと考える人も多いです。

最近は副業をしたり、ダブルワークを前提にアルバイトをしている人も多いですが、派遣社員の場合には会社によっては規則で制限がある場合もあります。

9 業務内容・将来性

派遣社員の場合には、特定の業務を目的として派遣されるため、契約で定められた業務以外については行うことはルールとしてはできなくなっています。
もしも契約外の仕事をした場合の責任や発生した損失は本人と派遣先企業が負うことになり、仕事をする際には「現在できること」が中心になります。スキルアップを自分で行い、派遣会社にアピールしないと、同じような仕事をずっと続けることになります。

ただし、紹介予定派遣のように正社員登用が前提になっているケースも多く、将来への展望が明確な派遣先もあります。

アルバイトでは契約時にはある程度の職務内容が定められますが、それに縛られずに雇用期間中に新しい仕事を任されることも少なくありません。時には正社員と同じレベルの仕事の権限を任される敏腕アルバイトがいたり、アルバイトからの正社員登用もあります。

アルバイトの職歴は正社員などを目指す場合には参考にならないと言いますが、職務の内容にもよりますし、実力を示すことができれば必ずしも評価されないということはありません。業務内容に変化や面白さを求めるならアルバイトが有利であり、将来性としてはどちらも大差はありません。

派遣社員とアルバイトは違うものと考えるべし

派遣社員とアルバイトは、同じように非正規雇用と呼ばれるものではありますが、その持っている性質には大きな違いがあります。優劣を格付けするよりは、全くの別物、働き方のひとつとしてそれぞれ尊重されるべきです。

どちらが有利か、待遇が良いかではなく、違いをきちんと理解すること、そしてどちらが自分のライフスタイルにより合っているのかを基準に判断するとよいでしょう。