ビジネスマナー

手紙で拝啓や謹啓を使うときの書き方・例文

手紙で拝啓を使いこなすためのマナーを紹介します。季節の挨拶や時候の挨拶など手紙にはマナーがあります。拝啓と敬具、謹啓と敬白など組み合わせにもルールがあります。ビジネスやプライベート問わずお世話になった方に手紙を書くのは相手に喜ばれます。この機会に手紙デビューをしましょう。

手紙の「拝啓」「謹啓」の正しい使い方

社会人になると、手紙を書く機会や形式に則った文章を書く機会が非常に増えます。そのようなときに、さらっと「拝啓」や「謹啓」などのちょっとオトナな手紙用語を使いこなすなら、相手に対してスマートな印象を与えるでしょう。相手別の、文章の書き方についてご説明いたします。

目上でも目下でもない場合の「拝啓」を使った例文

文頭に付ける言葉を「頭語(とうご)」と言います。特別目上でも目下でもない相手や、気軽な相手に対しての頭語は、「拝啓」や「啓上」「一筆啓上」などを用います。この頭語を置いてから、行を変えて時候のあいさつ文へと移っていく書き方が一般的です。

そして、本文(主文)を書き、末尾の言葉へと書きすすめます。末尾の言葉を書いてから、行を変え、行の終わりの方に「結語(けつご)」を添えて手紙を終了させます。結語は、「敬具」「敬白」などが一般的ですが、女性の場合は「かしこ」を使うことも多いです。

より丁寧に文章を書く場合は、結語の次の行に、日付や自分の名前、相手の名前や添え文を記します。子どもの入学祝を送ってくれた相手に対するお礼の手紙を、文例として見てみましょう。

拝啓

日本中をピンクに染めていた桜も散り、若葉が匂うように生い茂る頃となりました。ご家族の皆様にはますますご繁栄のことと思います。

この度は、かおるのために入学祝をお送りいただき、本当にありがとうございました。素敵なブラウスにそでを通し、ちょっとお姉さんになった気分を味わっているようです。かおるも非常に気に入って、毎日でも着たいと申しております。

慣れない学校生活にも、そろそろお友だちと呼べる子どもも増えてきたようで、毎日楽しく元気に通っています。成長して行くことが嬉しい気持ちもありますが、手を離れたことに少しさびしさを感じることもあり、親と言うものはわがままなものだと我ながら呆れています。

ゴールデンウィークになりましたら、お礼を兼ねて一度ご挨拶に伺いたいと考えております。お忙しいことと思いますが、もしよろしければ時間を取ってくださるとうれしいです。

末筆ながら、ご自愛のほどをお祈り申し上げております。

敬具


平成27年1月1日
○○○(差出人の名前)
○○○○様(相手の名前、少し大きな字で)

ビジネスで使う「拝啓」と「敬具」の意味と書き方

対等な場合の返信文は「ありがとうございます」でOK

手紙をもらった返事として手紙を差し出す場合は、「拝復」「敬復」などを頭語に使用しても良いですが、簡単に「お手紙ありがとうございます」で始めても問題ありません。結語は「拝答」「敬答」「かしこ」を使用します。この場合も、「かしこ」は女性のみの使用に限定されています。

文章の書き方自体は、返信でない場合と大きな違いはありません。手紙をもらったことに対する感謝を文中に入れるようにしましょう

拝啓・敬具の意味は意外と知らない?メールや手紙の常識

目上の方への「謹啓」を使った例文

文章構成自体は、対等な相手に対する文章の書き方と大差はありません。頭語から始まり、季節のあいさつ、本文、結びの言葉、結語と続きます。頭語は、「謹啓」「恭啓」を使用し、結語は「敬白」「謹言」を使用します。女性の場合は「かしこ」も使用しても構いません。

より丁寧に書くときは、署名と日付、相手の名前や添え文を書きくわえます。では、同じく入学祝をもらった目上の方への文例を見ていきましょう。

謹啓

日本中をピンクに染めていた桜も散り、若葉が匂うように生い茂る頃となりました。お義父さま、お義母さまにおかれましては、いかがお過ごしでしょうか。

この度は、かおるのために入学祝をお送りいただき、本当にありがとうございました。素敵なブラウスにそでを通し、ちょっとお姉さんになった気分を味わっているようです。かおるも非常に気に入って、毎日でも着たいと申しております。

慣れない学校生活にも、そろそろお友だちと呼べる子どもも増えてきたようで、毎日楽しく元気に通っています。成長して行くことが嬉しい気持ちもありますが、手を離れたことに少しさびしさを感じることもあり、親と言うものはわがままなものだと我ながら呆れています。

ゴールデンウィークになりましたら、お礼を兼ねて一度ご挨拶に伺いたいのですが、ご迷惑にならないように可能な時間をご教示いただけますと感謝いたします。

末筆ながら、お義父様、お義母さまのご健康をお祈り申し上げております。

敬白
平成27年1月1日
○○○(差出人の名前)
○○○○様(相手の名前、少し大きな字で)

目上の方への返信文は「謹復」を使う

目上の方への返信も、文章構成は同じですが、頭語・結語が異なります。頭語は「謹復」「謹答」とし、結語は「謹言」「敬答」、女性の場合は「かしこ」も可能です。

ビジネス文書においての敬具の使い方と位置

手紙の「拝啓」「謹啓」は繰り返さないように気を付ける

「拝啓」や「一筆啓上」には、「謹んで申し上げます」の意味があります。「一筆啓上申し上げます」や「拝啓、謹んで申し上げます」は同じ言葉を二回繰り返していることになりますので、使用しないようにしましょう。

また、縦書きで記す場合も横書きで記す場合も、単語が2行に分かれてしまわないように注意して文章を書きましょう。メールなどでお礼を言う場合は、どうしても単語が2行に分かれてしまいます。丁寧にお礼を述べたいときなどは、ビジネスであっても手紙を使用するようにしましょう。