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「概ね」の意味はどの程度?「約」「およそ」との違いは?

「概ね」という言葉を使う方は多いでしょうし、会社の中でもよく聞くワードです。しかし、「概ね」の意味を聞かれると曖昧だったり類語が多かったりします。今回はそんな曖昧な「概ね」の意味を漢字の起源からまとめてみました。

「概ね」の意味はどの程度を指す?

「概ね」は「おおむね」と読み、広く一般的に用いられる言葉です。日常生活の中ではあまり使わないものの、会社内での報告やニュースでは見聞きすることが多い言葉です。「概ね堅調な動きを見せています」と聞けば、あまり変わらずに進んでいることが分かります。しかし、「概ね」の意味がどの程度のことを指しているのかが分かりません。

「概ね」の類義語が多いことに共通して使われている意味合いとしては、非常に幅のある言葉です。使う人によって意味合いが異なることもしばしばあります。どうして使う人によって意味合いが変わってきてしまうのか、むしろ使用者によって意味が異なる言葉なんて、使わない方が良いのではないのかとも思えてきます。

実は「概ね」には類語が多いもの抽象的な範囲があります。語彙力を上げる云々の話ではありませんが適用範囲を理解しておくことで使う側としても慎重に使うことへとつながります。

「概ね」の意味は

「概ね」の意味としては、類語が多いということから定めることが難しいように感じますが、そのようなときには字の起源をさかのぼって考え、使っている場面を振り返ってみることで集約できます。ビジネスシーンでは上司が使っているさまを見て意味合いを改めることが多いですが、実のところ、程度が上司個人のものになりがちで、必ずしも的を得た意味に近づけるとは限りません。

間違った使い方というものは少ないものの、習慣的に使っているパターンが独り歩きする場合も考えられます。そのような事態から抜け出し、一般的な意味として整えることで齟齬も少なくなるでしょう。

「概ね」の成り立ち

「概ね」には「概」という漢字が用いられていますが、「概」は「木」に「既」を合わせた形成文字です。「既」にはこするという意味が備わっており、元来「概」には升に盛り上がったお米を平らにする棒という意味があります。

ここから推察するに「概ね」という言葉は、ものごとを控えめに見積もった言い方であるべきであることが分かります。つまり、実数値以上にものごとを伝えるのではなく、四捨五入するのでもなく、端数は切り捨てた謙虚な言い回しであることが望ましいと言えるでしょう。

「概ね」の代表的な意味合い

「概ね」という言葉を用いる際には、2つの意味の内どちらかを使っていることが多いです。その2つの意味というのは以下の通りです。

必ずしも正解とは言えないが、ほぼ同じ意味として認められる場合は「概ね」を使います。派生効果があり、単体として持つ意味と分けて伝えるときにも使います。つまり、ものごとの要点をまとめて伝えるときには「概ね」を用いることになります。

また、ニュースでは趣旨として「概ね」を用いるよりも、程度として伝えることが多いです。先ほど表出しました「概ね堅調な動きを見せています」という文章でも程度として用いられています。この場合、良い動きとして用いており、マイナス面の言い回しではないことに注意しましょう。

「概ね」の間違った使い方

「概ね」という言葉は、漢字の由来から考えてもプラス面での扱い方をする言葉であることが分かります。よって「概ね」は、良いことを示唆するときに使うものとみて問題ないでしょう。

先ほどの「概ね堅調な動きを見せています」という文章では、ともするとどちらの方へ傾いているのかが分かりません。このような文章やフレーズは株価の推移を表すときに用いますので、音声だけ聞いていると上がっているのか、それとも下がっているのか分からなくなることもあるでしょう。

仮に正しい「概ね」の意味で用いている場合は、株価が上がっていることが予想されます。「概ね堅調に」ということは緩やかに上がっていく様を表している言葉となり、「概ね」という言葉の起源にも逆らわないことになります。

「概ね」を使った例文

では、次に「概ね」を使った例文で使い方を確認しておきましょう。最初に趣旨の意味で用いている「概ね」を確認しておきます。

事の概ねは理解できたが、分からない点もいくつかある。

このような使い方をビジネスシーンで用いることは滅多にないと信じたいところですが、何かが起こり発見直後からの出来事をあらかた理解したと考えられるでしょう。言い換えるのであれば、「お話はよく分かりました。しかしいくつか質問があります」と言ったところでしょう。一部始終のすべてではないが、伝え聞けることはすべて理解したうえで質問があるという状況です。

次に程度の意味で用いている例文を確認しておきましょう。

入社してから10年。ここまで色々なことがあったが概ね順調である。

会社に入社してから10年が経ったということは分かりますが、これまで色々あったというのがどのようなことであるかは不明です。ただし、起源通りの意味合いで使っているのであれば、特に悪いこともなく10年間無事に仕事を行えてきたと解釈できます。

「概ね」のトラップ

「概ね」という言葉には、升に持ったお米を平らにする棒という起源があり、そこから実数値から切り捨てた、いわば控えめな言い方をするものであることが予測されることは述べてきた通りですが、「概ね」という言葉を使う場合には、さらに気をつけなければならないことがあります。

「概ね」の範囲は決まっていない

「概ね」という言葉は控えめな言い方である一方で、適用範囲というのが不明確な言葉でもあります。範囲が不明確では、使い手によって意味合いが異なってしまう危険性を伴います。よって「概ね」という言葉の使用は、控えた方が良いと判断できます。

ただし、ものごとの趣旨あるいは程度として用いる場合では、「ほぼすべて」のことを指していると認識されます。つまり「概ね」の適用範囲は「ほぼすべて」と解釈することも可能です。

著作や論文、報告書、企画書に対して一読して理解を深めたことを示したいときには「概ね」という言葉を効果的に使える一方、人間関係について用いることは些か無責任な言い回しになることも考えられます。始まりと終わりが決まっているものに関しては「概ね」を使っても良い、といった程度に捉えておくことが無難でしょう。

言葉の意味を理解したうえで使う日本語の美しさ

日本語というのは、その他の言語と比べても非常に厄介な言語です。そもそも漢字、ひらがな、カタカナと3つの表記を持ち、時代を経てアラビア数字や外来語を積極的に取り入れてきた言語ですので、複雑性に富んでいることは確かです。

日本人がさも当たり前のように日本語を話しており、英語を話すことは不得手だと主張する人が多いことは、日本語自体で覚えなければいけない知識が多すぎるためかもしれません。漢字に関してはカタカナやひらがなの手本になっているほか、様々な事象を象って作られている表記です。

中国語では漢字が思い出せなければ同じ音を持つ漢字を当てはめますが、日本語ではひらがなやカタカナで表記します。ここには日本人があいまいな表し方を避け、正確に伝えようとする意志というものが見え隠れします。

正確に情報を伝えようとする場合には、表記した文字の意味や発音した言葉の意味を理解しておかなければなりません。複雑性に富んだ言語である日本語をひとつずつ解釈していくことで正確に、それも美しく伝達することが可能となります。

「概ね」は様々な意味を含んでいる

「概ね」という言葉の中には類語をたくさん含んでいるため、意味を特定しづらいという難点があります。これは日本人が正確に意味を伝承しようとして、習慣的な使い方、いわば「概ね」の使用パターンをそれぞれが解釈してきた結果でしょう。

しかし、本来の意味から離れてしまっている類語も少なくありません。さまざまな意味を持つということは個々人や個々のグループにとっては良いことかもしれませんが、輪を広げて正確に情報を使う時には不便です。「概ね」という言葉は結局のところ2つの意味に集約されたわけですが、他の日本語にもこのようなケースはあります。

今回のようなケースに出会った際には、言葉の起源や習慣的に使われているパターンを見直すとよいでしょう。