「かしこ」の意味と使い方は?ビジネス文書やお手紙の構成

「かしこ」という言葉はスマホが普及した現代で使う人は大変少なくなりました。しかし、社会人になってからビジネス文書や目上の人への手紙を作成する際に、知らないと相手の方に失礼になることも。「かしこ」の意味や使い方・拝啓などの頭語や結語を含めたフォーマルな手紙全体の構成を紹介します。

「かしこ」の意味と使い方は?ビジネス文書やお手紙の構成

「かしこ」の意味は?フォーマルな手紙を書く際の使い方を紹介!

遠い昔、室町時代に使われていたような響きを持つ「かしこ」という言葉。皆さんは、実際に今現在でも使われている頻出単語ってご存知でしたか?コミュニケーションがデジタル化され、スマホやパソコンを使う日常に慣れている私たちにとって、出会う場面が少ないのも事実。珍しく丁寧なお手紙を頂いた時などに「かしこ」と記されていて「どういう意味?」と疑問に思う人もいるかもしれません。

メールでのやり取りが多いと言っても、大人になればビジネスシーンや目上の方への手紙を書く機会も増えてきます。そんな時に「失礼のない手紙の書き方」を知っておくだけで、常識ある一社会人としてアピールすることができます。そんなフォーマルな手紙を書く際に登場する「かしこ」の意味とその使い方・手紙の構成をご紹介します。

アンティークな響きが魅力的!「かしこ」の意味

「かしこ」の語源や意味

手紙の文末に使われる「かしこ」の意味は、「恐れ多いこと」「畏し(かしこし)」が語源であり主に女性が使う言葉として用いられます。なぜ手紙の最後に使われるのかと言うと、文章の終わりに手紙を受け取られる方への敬意を表して「これで失礼致します」という挨拶になります。ちなみに男性が手紙の最後に使う「かしこ」に代わる言葉は「恐惶謹言」で相手の方への敬意を表すと共に最大限の謙譲語として使われます。

男性の「恐惶謹言」はカッチリとしたイメージを字面から受けますが、女性が使う「かしこ」は平仮名であり女性らしい親しみやすさが漂います。一般的には女性が目上の方に手紙を出す際に「かしこ」を文末に使うのが常です。したがって、晴れて社会人になって目上の方との交流が増えた人や、大人同士の手紙のやり取りをするようになった際に「かしこ」を上手に使えると、失礼のないスマートなコミュニケーションを手紙においても実現する事ができます。

堅苦しいルールは一切なし!「かしこ」の正しい使い方

かしこの使い方を説明する女性

女性が目上の方に手紙を書く際に使われる

「かしこ」を使う上で一番大事なことは、あくまでも女性が目上の方に出す手紙に使われる結語(文章の最後に記す言葉・締めくくる言葉)だということです。明らかに気心知れた年下の友達に「かしこ」を使うと、少しぎこちない感じになってしまいます。相手の方との距離感がつかめないフォーマルな間柄の方に使ったり、お世話になっている目上の方に使うのが一般的です。

「拝啓」とセットで使う「かしこ」

「かしこ」を使う際には「拝啓」という言葉もセットにして使うと手紙全体の始まりと終わりが締まります。「拝啓」は畏まった手紙の文頭に使われる、いわば最初の挨拶にあたります。「おがみもうす」と読めるように、挨拶をして敬意を表す意味合いが含まれています。拝啓を記すことによって、手紙の挨拶文がそこから始まります。

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どんな頭語にも「かしこ」は使える

頭語と結語をセットにして手紙を作成する際に、決して「かしこ」は頭語・「拝啓」だけにしか使えないわけではなく基本的にはどんな頭語にも使え、「前略」「略啓」などとも一緒に使うことができます。

「かしこ」だけでも使うことができる

手紙を綴った後に「かしこ」だけ記すことも可能です。頭語などとセットで使われる認識が強い「かしこ」ではありますが、時間がない時などに手短に文章を作成し文末に「かしこ」と記すこともできるわけです。

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「かしこ」を使った手紙を構成する6つのエレメント

目上の方に手紙を書くための紙

「かしこ」を使った手紙を作成する際には、手紙の書きだしである「頭語」からの構成を考える必要があります。慣れてくると意識せずに自然と下記のような構成で手紙を作成することができるのですが、まずはどのようなエレメント(要素)を使って一枚の手紙を組み立てていくのかを見ていきましょう。

フォーマルな手紙の構成・記すべき6つのこと

1.<頭語>最初のかき出し部分

「拝啓」「前略」「啓上」といった言葉を用いる

2.<前文>手紙の冒頭に記す時候などの文章

前文が記された手紙への返信や、目上の方・フォーマルな付き合いの方には前文を。
親しい間柄の方には頭語を記したら、前文を省略して主文に入っても可

3.<主文>手紙の軸となる内容・伝えたい事柄

頭語・前文の後には、起語を用いるとスムーズに本題へ入れます
起語(さて、突然ですが、この度は、さっそくですが、ところで…など)

4.<末文>結びの挨拶

手紙を締めくくる部分であり終わりの挨拶に当たる文章

5.<結語>「頭語」とペアで用いられる文末に用いられる締め

「敬具」「早々」「かしこ」「拝具」など

6.<後付>いつ・誰が・誰に宛てた手紙なのかを明記

手紙の日付け・受取り主の宛名・自分の著名・脇付を記入
脇付(宛名の左下に記す敬語・現在はあまり使われることがないが、とりわけ敬意を表したい相手に手紙を書く際には用いられる・通常は便箋と封筒両方に記す・「机下」「座右」「侍史」「膝下」「御前(女性が使う)」など)

いざ実践!「かしこ」を使ったフォーマルな手紙の例文

手紙の書き方を習う受講生

実際に手紙を作成する際には、手紙を受け取られる相手の方との関係性を考慮して文章を作成しましょう。「頭語」や「結語」を用いるからと言って、決してガチガチな堅い雰囲気の手紙になるというわけではありません。親しみやすい単語をちりばめながら、それでいて相手を敬う気持ちをバランスよく盛り込んだ内容にすると読みやすくなりおすすめです。

例文1:親しい間柄の目上の方への手紙

<頭語>拝啓


<前文>
冬の訪れを感じる肌寒い日が続いていますが、皆さんお変わりなくお過ごしでしょうか。
今年は家族共々お世話になり、とても素敵な時間をご一緒できたことを大変嬉しく、○○さんにはいつもお気遣い頂きありがとうございます。


<本文>
突然ではありますが、来月12月中旬より東京で会議があるため2,3日滞在する予定です。もし、お時間がありましたら、ぜひお会いできれば、と思い手紙を認めさせて頂きました。
詳しい日程につきましては、メールにてご連絡させてください。


<末文>
ますます外は冷え込んでくるかと思いますが、ぜひお体に気を付けてお過ごし下さいませ。


<結語>
かしこ


<後付>
平成○年○月○日
○○ ○○
○○ ○○様

例文2:ビジネス上のお付き合いがある方への手紙

<頭語>
前略


<前文>
初冬の候、いよいよご壮健のこととお喜び申し上げます。
いつも弊社をご贔屓頂きありがとうございます。


<主文>
この度は、来月12月10日より始まります新作コレクションの発表に先駆け、プレ品評会のご案内をさせて頂きたくぶしつけながら招待状を送らせて頂きます。
ぜひお時間がありましたら御足労ではありますがご来場頂ければ幸いです。


<末文>
まだまだ寒さ厳しい日が続きますが、くれぐれもご自愛くださいませ。


<結語>
かしこ


<後付>
平成○年○月○日
□□企画・営業部 ○○ ○○
株式会社△△ ○○ ○○ 様

「かしこ」からフォーマルな手紙の書き方をマスターしよう

手紙を送るための便箋

メールやSMSでのやり取りでは、どうしてもフォーマルな文章を作る機会がどんどん減ってしまいます。しかし、一度社会に出て働き始めると、あらゆる場面で改まった文章を書く機会が沢山あり大人の一般常識として知っておきたいスキルでもあります。手紙を書く習慣がなかった人でも、一度フォーマルな手紙構成を覚えてしまえばとっても簡単。日常生活やビジネス文書にも使える文章力を見に付けることができます。ぜひ「かしこ」を使った素敵な手紙の書き方にチャレンジしてみましょう!