人間関係

マリハラとは?職場で被害を受けた社会人のエピソード14

マリハラはマリッジハラスメントのことで、結婚しない理由や恋人の有無を単身者に執拗に詮索する迷惑な嫌がらせ行為。軽い冗談のつもりでも結果的に相手を傷つける発言はパワハラとなります。職場でマリハラ被害に遭った社会人男性・女性14名の事例を参考に、どう対処すべきか考えていきましょう。

職場でのマリハラにご用心

マリハラ(マリッジハラスメント)とはパワハラの一種です。独身者に対し、結婚しないことについて執拗に理由を詮索したり、責める迷惑行為を言います。

よく耳にする言葉ではありますが、言われた人間が不快に感じた場合、こうした発言もマリハラ行為として見なされます。パワハラのうち、マリハラは個の侵害にあたります(注1)。

職場でマリハラをしてきた相手は?

今回の調査で、職場でマリハラ行為をしてくる主な相手として挙げられたのは以下の通りです。

職場にいる年配の既婚者女性からマリハラを受けたという方が多数でした。本人としてはアドバイスのつもりなのでしょうが、単身者からすると余計なお世話であって、不快に感じる方は少なくありません。

相手が上司の場合、「立場の関係上怒ることもできず、苦笑してやり過ごすしかない」という方も多く、その場では笑顔でいながらもやり場のないモヤモヤを長く引きずってしまいがちです。

マリハラを受けた14人の社会人の体験談

職場でマリハラ被害を受けたことがある14名の男性・女性から当時のエピソードを語ってもらいました。万が一マリハラを受けた場合の対処法についても合わせて考えていきましょう。

マリハラ被害を受けた女性の声

職場でのマリッジハラスメント

さとこ(33歳 事務員)


私が初めてマリッジハラスメントを受けたのは27歳の時です。友達もどんどん結婚ラッシュで、私自身もこの先どうなるのか分からない漠然とした不安がありました。そんな時、同じ病院で働く看護師から言われた言葉が未だに心に残っています。

私は事務勤務で、その看護師とはそこまでの接点は無かったのですが、その看護師が休みの件で事務所まできて上司に相談しにきた時のこと。

「私の娘が今度結婚するから、一週間くらい休みがほしいのよ~」と。そこから職場で結婚してない人の話になり「うちの娘は早く嫁に行けて良かったわ~」等と話しておりました。

私は聞かぬ振りをしていたのですが、急に私の方に体を向け、「ほら~ここにも余り者いるじゃない~?」と。え?!と思い、その人の方を見たらもろに私に笑顔を向けて喋っておりました。一気に顔が赤くなり俯くしかなかったです。

心の中では大発狂ですよ。「お前の娘なんか離婚しちまえ!!!」と思ったことはここだけの話です。

既婚者が勝ちなの?

はな(26歳 事務職)


職場でマリハラを受けたのは25歳の頃。晩婚化が進んでいる現代では、30代で結婚がフツーだと私の中では思っていました。

しかし、私の部署は何故だか男女ともに結婚がとても早く、同期の結婚式も数え切れないほど参加してきました。

そんな中で、一緒に街コンや合コンに行って出会いを探していた仲の良い直属の後輩からの、まさかの結婚報告。それを一緒に聞いていた部長から、「●●も頑張らないと売れ残っちゃうぞ」とニヤニヤしながら言われました。

「あなたには関係ないでしょう」と言いそうになりましたが、苦笑いで誤魔化すしかありませんでした。冗談で言っているのだとは思うのですが、それにイライラしてしまう自分と焦る自分がいて行きづらい世の中だなぁ、と思います。

女の上司に言われたマリッジハラスメント!

りんご(31歳 会社員)


28歳の頃、職場の上司からマリッジハラスメントを受けました。

それまでは上司も結婚せず、そういう話も全くなかったのに上司の結婚が決まった途端、「なんで結婚しないの?結婚ってすごくいいよ」と毎日マリッジハラスメントが始まりました。

毎日上司の夫婦ネタや結婚ネタに付き合わされ見下されとても嫌でした。私も嫌な気持ちが態度に出てしまい、軽く流すようになったらどんどんエスカレートしていきました。あまりにもうるさくてイライラしてしまったので、「私は今の生活が楽しいので結婚する気はありません。友達も離婚しましたし」と強めな口調で伝えました。

それからは「なぜ結婚しないのか」という私に対するマリッジハラスメントはなくなりました。…が、他の社員が攻撃されています。

男性上司からのマリハラ

アヤナ(36歳)


私の勤務先は開業医のクリニックで、私はそこの看護師でした。職場でマリハラを受けたのは28歳くらいから結婚する32歳までの4年間です。

マリハラを実際に言ってきたのは、クリニック男性医師でした。実際に言われた経緯をお話ししますと、朝の朝礼で、月の初めにスタッフ一人一人目標を言っていくのですが、私の番になった時に言おうとした、男性医師が「今月こそ結婚相手を見つける、でしょ?」と言ってきたのです。

私はビックリして固まっていたら、周りの先輩達がかばってくれて「今の人はいいんですよ、結婚が全てじゃないんですよー」と言ってくれました。

その時はそれで終えましたが、その後も何かと「結婚相手見つけた?」としつこかったです。相手は上司なのではっきりと嫌とも言えず、とても傷つきました。

結婚してからはその呪縛から逃れる事はできましたが、今思い出しても嫌な思い出です。

時期が悪くショックも倍増

souso(30歳 事務)


一番結婚に敏感な27歳のときに、職場で残念ながらマリハラを受けました。

12歳年上の女性の先輩。彼女は早くに結婚をしていてお子様もいて、事あるごとに「結婚は?」と聞いてくるのです。

特に残念だったのは、彼氏と別れたばかりの当時の私に、「なんで結婚しないの?」の一言をぶつけてきたことです。これには「なんてデリカシーがないのだろう」と、とても嫌な気持ちになりました。

先輩なので、今後の仕事のことも考え、できるだけ感情を表に出さないようにしながら、「結婚は一人ではできないので…」と愛想笑いをして終わりました。

尊敬していた先輩なだけに、その言葉にショックを受け、少し距離を取るようにしました。ちょうど友人の結婚ラッシュの時期だったので、かなり傷つきました。

まだなの?

はち(32歳 会社員)


私が25歳を過ぎた頃から、会社の女性の上司から「結婚はまだしないの?」と聞かれる様になりました。「まだですよ」と答えると、「今頃の子は遅いのね、昔だったらもう皆結婚してるよ」と言われました。

頻繁に言われ続け、32歳になった今でも言われ続けています。「結婚しないの?する気はあるの?子供欲しくないの?相手は何も言わないの?親は何も言わないの?」と質問攻めしてきます。

私はそう言われる度に「今はまだしません、今頃は結婚遅い人も沢山いますよ。子供も欲しいですよ、でも私達のペースで考えていきます」と伝えています。

また、「私達の親は全然焦らないで良いと言ってくれているのでのんびり考えていきます」とも伝えています。そう答えてもまた暫くすると聞いてくるのでウンザリしています。

子供はまだ?

たぬきち(25歳 事務員)


私は病院の事務員として働いています。病院勤務なので働いている方は女性の方がほとんどです。

入院できる施設もあり、男性の介護長から『ダーリンとらぶらぶしてる?』と聞かれたり、同期の看護婦さんが結婚して子供も授かっていることもあり『結婚は?子供はまだ?』としつこく言ってきます。

他人のことなのでほっといてほしいし、顔を合わせるたびに何度も聞いてくるのが本当に嫌で、なるべく顔を会わせないようにしていました。

最近ではあまり言ってこなくなりましたが、同期の子がマイホームを購入したり、2人目の子を授かったりしているので、また何か言われるのかと思うとすごく憂鬱になります。

何か言われても「そうですね」と適当に相槌をしたり、忙しいフリをしてその場から離れるようにしています。

勝手なことばかり言ってくる中年男性

せがみ(26歳 事務)


25歳の時、直属の上司からマリハラを受けました。当時5年ほど付き合っていた彼がおり、結婚の話もしてはいましたが、その上司には話していませんでした。

その上司はとにかく他人の詮索が好きで、あることないことをベラベラ喋ってしまうので、結婚がきちんと決まるまでは黙っていたかったからです。

その上司は私に彼氏がいないものと決めつけて、「お前彼氏の一人もいないなんて寂しいな」「もう若くないんだから、さっさと婚活始めろよ」などをことあるごとに言ってきて、相当気分が悪かったです。

言われているときはとにかく我慢して聞き流すことに徹していましたが、周りの同僚にはそれとなく話を聞いてもらっていました。

その上司の態度が変わることはありませんでしたが、同じようにマリハラで悩んでいる人達がいたので、「自分だけじゃないんだな」と考えると何とか前向きに頑張れました。

結婚の時期を探り仕事内容を変える上司

mhoppe(28歳 教育)


私が26歳の時に再就職した教育業界での話です。

20代後半ということで今後どの程度仕事を続けそうか…などを探りたい気持ちはわかりますが、直属の上司(教室長)に入社してすぐに彼氏の有無を聞かれ、その後も度々に恋愛の近況を聞かれました。

初めの頃は「仲良くなろうとコミュニケーションをとってくれているのかな?」と思っていたのですが、上司にしか伝えていないはずの私の恋愛状況を他の先輩が知っていたりと、「え・・・?」と思うことが増えました。

そんなある日、私が働いていた職場に私より2つ上の女性が入社してきました。彼女も早々に彼氏の有無を聞かれ、「彼氏がいて、そのうち結婚も考えている」と答えていました。

すると彼女がいなくなった途端に「あの子は長く続かないから役割は与えないでおこう」と上司と先輩達が話し出したのです。

結局、その彼女に対して上司も先輩達も対応が悪く、その彼女はすぐに辞めてしまいました。

その後も私は結婚についてなど色々と聞かれる日々は続き、いざ結婚が決まると研修も受けさせてもらえない、陰口を言われるなど、手の平を返されて嫌な思いで退職しました。

悪意のないマリハラ

ぺん(26歳)


私がマリハラを受けたのは、25歳の時です。相手は職場の上司。親と同い年で、私とその上司だけの部署でした。

元々雑談も多く、お互いに自分の話もよくしていたのですが、私に彼氏がいないと知ると、来る人来る人に「いい人はいないか?」と尋ねるようになりました。

勝手に相手を見つけてきては連絡先を私に押し付けてきました。もちろん、そんなどこの誰かもわからない相手と話が続く訳もなく…。遠回しに相手は自分で探しますと伝えても効果はなく、とうとうお見合い相手を見つけてきてしまいました。

相手の両親、相手、私、上司での食事の席を設けられており何がなんだかわからない私。「早くいい人を見つけた方がいい、結婚した方がいい」と頼んでもないのに勝手に話を進められていました。

その縁談は丁寧に何とかお断りしたのですが、断られた方は持ちかけておいて断られるなんて気分が悪いだろうし、結局は彼氏がいるという嘘をつき、実際に男友達に来てもらい彼氏のふりをしてもらうという強硬手段に出て事を終息させました。

人の結婚に口出ししてくんなー!

かんな(27歳 パート)


私がマリハラを受けたのは26歳の時です。当時今の旦那と交際半年くらいで、お互いの間では結婚を視野に入れてお付き合いしていました。

私の職場にはパートの方も多く、中でも私よりもふたまわりほど年上のおばさんが噂話やお節介焼きが大好きでとても困りました。彼氏について聞かれたので私が彼のことを話すと、「いつ結婚するの?本当にその人でいいの?やっぱりジューンブライドがいいんじゃない?」などと言ってきて、他人のことなんだから放っておいてくれと心底思いました。

また、知人の独身男性の写真を見せてきて、「結婚してから後悔しても遅いからさぁ、見てこの人!あなたの彼より高収入だし格好良くない?」なんて言われました。

「それはあんたの好みだろ!」と思いましたが、流石にそんなこと言うと面倒臭そうなので、「そうですねー、私にはもったいないですねー」と言っておきました。そしてその方にだけ、籍を入れた報告をしませんでした。

「わしの時は◯◯だった」が口癖

くりーむ(31歳 公務員)


ずっと諦めきれずに目指していた職に27歳で採用が決まり、28歳で新人として働き始めました。指導係として就いて頂いたのは、50代半ばの役職の男性です。

私が28歳であることを知り、彼氏はいるのか、結婚はできるのかなど、指導時間に関係のない話ばかりすることが多かったです。

また、その指導係の男性はご自身の結婚が遅く、若い時は上司から薦められた女性と毎週末お見合いをしたなど、周りに聞こえるように話をするので、他のご年配の方々から「いい人紹介しましょうか?」と言われてとても迷惑でした。

とにかくご自身の体験談を元に、私の恋愛や結婚観についても決めたがり、担当しているクライアントにまで話をされ迷惑でしたので、指導係の上司2名にクライアントにまで迷惑をかけていること、仕事に支障をきたしていることを相談しました。

相談後、指導係からクライアントの前ではマリハラを受けることはありませんでしたが、残業中などにマリハラを受けることがあり、「この人の悪癖はもう直らないんだな」と思い、適当に受け流すことにしました。

結婚があるから女性は仕事に手を抜く?

らの(22歳 飲食業)


新卒で飲食会社のホールスタッフとして入社した22歳の頃、その年に私と同時に入社女性は、他に一人しかいませんでした。

ホールスタッフとして店舗に配属された私と違い、彼女は一般事務として、本社に配属されました。

入社から数ヶ月して、社員研修時に他の同期の男性社員に、配属先の話をしているときでした。『接客が苦手だから、ホールに配属されて色々苦労してるよ』と私が話すと、同期の男性たちは『いいじゃん。女だし仕事がしんどくなったら結婚したら最悪辞められるよ』と言われたのです。

私はまだまだ頑張るつもりだったし、女性だからと結婚を意識して仕事に手を抜いていると言われた気がして固まっていると、事務に配属された同期の女性も、『現場より事務の女の人のほうが、花形だし先に結婚できるかもね』などと言われていました。

笑って上手に流していましたが、私はその後、同期の偏見が強い発言をする男性たちには、下手に弱気を見せて「女だから結婚という逃げ道がある、仕事では甘えている」と解釈されては嫌なので、仕事の相談や雑談もしないように距離を置きました。

マリハラ被害を受けた男性の声

マリハラというと独身女性が被害を受けやすいイメージが強いですが、実際には男性の被害者も少なくないのが現状です。

私にショックを与えた上司の衝撃的な言葉

まさかず(40歳 事務職)


私がマリハラを受けたのは36歳になった頃です。

会社の直属の上司の人が、普段はとても仕事ができ面倒見がいい人なんですが、不用意な発言と言うか、相手を平気で傷つけるようなところがあり、その時も飲み会の席で、私のことについて言ってきました。

上司曰く、「どうして結婚しないんだ。結婚していないと、男は一人前として扱われない。本当の意味での社会的な信頼は得られないぞ」と…。

私は誰よりも仕事で結果を出してきたし、その上司にも貢献してきたので、そう言われてひどくショックを受け落ち込みました。

一週間ほど悩んだ挙句、その上司に抗議の手紙を書きました。とりあえず、口頭で謝罪はあったのですが、その後も、同じようなことを繰り返しているので分かっていないようです。その上の上司に相談しても、「気にしないのが一番」と流されてしまい、どうしたものか悩んでいます。

「男は結婚して一人前になれる」などの考えを持つ人間からのプレッシャーに強いストレスを感じる男性は少なくありません。

執拗なマリハラ被害は専門機関に相談を

周囲の心無いマリハラ発言は、笑顔で話半分に聞き流したり、自分の中での結婚に対する考えが定まっていて堂々と反論したりと対策方法は色々あります。

また、マリハラをしてくる人間が、そもそも自分が加害者であるという自覚がないケースも多いため、被害者側から「それ、マリハラですよ」とビシッと指摘することで解決することも少なくありません。

しかし、マリハラ行為があまりにしつこかったり、そのマリハラによって心身に支障が出ている場合には迷わず社内の相談窓口を利用しましょう(注2)。もし会社に窓口がなかったり、特別な事情があるケース、それでも解決しない場合には総合労働相談コーナーや法テラスなどの外部の相談窓口に駆け込むのもひとつの選択肢です(注3)。

マリハラをはじめとするパワハラに悩む方は、一人で抱え込まず、誰かの手を借りることから始めてみてください。