社員旅行の目的は?知れば行きたくなる会社側の4つの意図

社員旅行の目的は昔とは変わりつつあります。社員旅行に対して消極的な労働者の声もありますが、目的が分かると見え方や参加の仕方も変わります。社員旅行の目的をいま一度理解し、参加を検討してみてはいかがでしょうか。

社員旅行の目的は?知れば行きたくなる会社側の4つの意図

社員旅行の目的がわかると見方が変わる!

社員旅行については同僚との慰安旅行のように考えている人、四六時中上司の接待をしているような居心地の悪い時間と考えている人などいろいろなイメージが持たれているもの。

ただし、いつの時代でも社員旅行は企画する会社側としては、社員に参加してほしいイベントであることは変わりありません。社員にあえて会社のお金で旅行を提供するその目的は一体どこにあるのでしょうか。社会人なら知っておきたい社員旅行の目的について解説していきます。

社員旅行を企画している会社が考えている社員旅行の主な目的は?

社員旅行の目的を知ると、社員旅行の見え方や楽しみ方が変わってきます。社員旅行の主な目的は、大きく分けて次の通りです。

1 社員旅行を通じて社員同士のコミュニケーションを深めるため

旅行を楽しむ男達

社員旅行を実施している多くの企業は、社員旅行の機会を利用して社員間におけるコミュニケーションを活発化させたいと思っています。

同じ企業に勤めていても、部署が変わると全然顔がわからず、メールや電話のみの付き合いとなっている人も多いものです。こうした機会に顔を合わせ、コミュニケーションを取ることができることで、互いに仕事がしやすくなります。

社員旅行を通して他の部署の仕事内容などを知る機会にもなり、自社の社会的役割や商品・サービスについて深く知る機会になることもあります。

2 社員の会社への愛着を育むため

社員旅行の目的のひとつとして、離職率を下げることが挙げられます。今や大卒の新入社員の約3割が3年以内に離職するとされる時代です。離職率が高いほど採用や教育にコストがかかり、また社内にノウハウが蓄積できないため、離職率を下げることは経営において大事な課題なのですが、その対策として社員旅行が使われています。

普段の業務や目的達成のご褒美としてモチベーションを高めることはもちろんですが、共通の目的を持たせて組織力や社員同士の絆を高める機会として利用したり、旅行中の様々な企画などを通し職場や自社商品への愛着を高めたりと、会社への忠誠心の向上をはかります。

3 社員のリフレッシュのため

旅行を楽しみ走り出す男女

社員旅行と言えば温泉が定番のイメージですが、実際行く場所は様々です。ただ、多くの企業が社員旅行を通して社員にリフレッシュしてもらえたらと考えています。普段と違う環境で羽を伸ばしてもらったり、互いに仕事を忘れて交流する中で気分が一新され、帰ってきてからも仕事に精が出るといった効果が期待できます。

4 社員の知見を広げるため

昔は慰安旅行が主でしたが、最近は研修目的の社員旅行も増えています。研修と言ってもいわゆる座学ではなく、工場見学や専門家によるセミナー、ゲーム形式の研修プラン、時には運動会などが組み込まれることも多く、知見を広げることによって社内の生産性を高める効果を期待します。

中には毎年、新入社員が社員旅行を計画するという新入社員研修を行っている会社もあります。こうした社員旅行の企画や旅行中の様々な活動は、団体活動を学んだりリーダーシップを経験させる貴重な機会となるのです。

社員旅行で社員同士の仲は本当に良くなる?

社員旅行をすることによってコミュニケーションが良くなるという話も多いのですが、必ずしもそうとは限りません。しかし、どのように社員旅行を計画するかによって、コミュニケーションの活性度は大きく変わってきます。

社員旅行の企画をする会社員達

最近は社員旅行を専門的に企画する会社も増えてきており、そういった会社がコミュニケーションをより活性化させるための企画を織り込んで旅行のプランニングをすることも増えています。

昔のいわゆる「慰安旅行」では、結局気の合うメンバーで固まっていたり、打ち解ける機会もないままに時間が過ぎるということも多かったようですが、今は目的を持ったコミュニケーションの活性化策が行われるようになっていることから、旅行を楽しみつつも多くの同僚とのコミュニケーションが取りやすくなっています。

「社員旅行なんて参加しても気を遣うだけ」と言わずに、積極的に参加してみることで社員旅行に対する印象は変わってくるでしょう。

社員旅行は節税のためも目的のひとつ

一万円札の上に乗って考え込むビジネスマンの人形と電卓

「社員旅行は節税のために行うもの」と言う話がありますが、そういう面があるというのも確かに事実です。しかし、節税そのものが目的ということはあまり多くはありません

節税のために社員旅行を福利厚生費として計上するためには、以下の要件が必要となります。

  • 旅行の期間が4泊5日以内である(海外旅行の場合:外国での滞在日数が4泊5日以内である)
  • 旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上である

上記要件を満たしていれば、税法上は福利厚生費という経費に旅行費用は算入することができますが、何かの要件を満たせない場合は給料となり、課税対象となってしまうので会社としては大きな損失です。

また、社員旅行に行った人と行かなかった人に差を作らないようにと、旅費相当のお金を支給することはできず、社員間の軋轢を生んだり会社への反感を生むリスクがあります。

節税は会社側にとってメリットになりますが、節税を第一目的にしての社員旅行というのは、節税の面でも会社の風土づくりの上でもあまり良い効果をもたらしません。従って、節税のために社員旅行を行うことはほとんどないのです。

社員旅行に研修を取り入れている会社が増えている

社員旅行は以前の旅行形態とは少し変化しています。従来の社員旅行は社員全員で団体行動を行うことが基本でしたが、現在ではグループでバラバラのプランを楽しんだり、決まった食事の時間以外は自由行動としている企業も増えています。

また、目的を持った企画や研修を取り入れた旅行も多くなっています。
例えば、家族同伴で自社と関係のある工場などを見学したりするツアーを企画し、会社への帰属意識を高めるものであったり、水族館や動物園などからビジネスについて学ぶ研修をするもの、仕事によっては、進んでいる海外や地域の事例を視察することを目的にした、出張のような社員旅行もあります。観光地でレクリエーションやウォークラリーを通して、チームビルディングや部署間のチームワークを高めるような社員旅行などバラエティに富んでいます。

水族館の魚の凄さに見とれている男性のイラスト

昔のようなリフレッシュとコミュニケーションという目的ではなく、社員旅行を通して社内にプラスの影響を与えることを目的とした社員旅行が増加傾向にあります。

社員旅行の目的はそれぞれの立場で思っていることが少し違う

社員旅行に参加する目的というものは、実はそれぞれの立場によっても感じ方や考え方に違いが出てくるものです。

経営者・役員

社長・会長などの経営者や役員は、社員旅行を主催する側になります。従って、自分たちの慰労のためというよりも従業員の慰労のため、そして社員とのコミュニケーションを目的として参加することが多く、普段よりもずっと気軽に接してくれる傾向にあります。萎縮せずに接することで、普段の仕事の際にもコミュニケーションが円滑となるでしょう。

幹事・担当部署

幹事に当たっている社員や、総務や人事などの担当部署の社員にとっては、社員旅行はひとつの仕事であり大きなプロジェクトでもあります。どうしても仕事という側面がありますが、その仕事を通して社内の活性化やメンバーの人材育成に取り組んでいます。「社員旅行の打ち上げ」というイベントが別で儲けられることも少なくありません。

一般社員

役員や幹事に該当しない一般社員は、純粋に楽しむことやコミュニケーションを目的に参加することがほとんどです。会社のお金で普段行けないところへ旅行に行けるのは嬉しいものですが、プライベート的な時間とは言え、自己中心的な振る舞いは社会人としてよくありません。ビジネスマナーとまでは言わずとも、社会性と節度をわきまえて社員旅行を楽しむ必要があります。

社員旅行の目的は「社内の活性化」にあり

社員旅行の目的を一言でまとめるなら「社内の活性化」。リフレッシュにしろ、研修にしろ、コミュニケーションのための企画にしろ、全ては社内の活性化のためなのです。

この目的をわからずにプライベートの旅行のように考えていると、どうしても社内の人間関係を面倒に感じたり、また様々な制限がうっとうしく、個人で旅行できた方がよいのにと考えてしまいがちです。

しかし、社員旅行は社員が一緒に行って親睦を深めてこそ意味があります。そのために会社もお金を出してくれています。完全なプライベートではありませんので、企業側の意図を理解した上で、一緒にその時間を楽しむことが大切です。

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