「受け取る」の異なる二つの敬語表現

皆さんは尊敬語と謙譲語、正しく使い分けられていますか。今回は「受け取る」という言葉を例に尊敬語と謙譲語2つの敬語について説明します。またビジネスメールでよく使用される「ご査収」という言葉についてもご説明します。

「受け取る」の異なる二つの敬語表現

「受け取る」の敬語表現は尊敬語か謙譲語かで異なる

「受け取る」を敬語にする時、どのように言えば良いのでしょう。「受け取る」という言葉はビジネスシーンでもよく使用されています。「受け取る」を敬語表現にする時は誰が行動の主体になるのかまず考えることです。そして、それに合わせて尊敬語か謙譲語に変換しましょう。

敬語の種類は3つ

敬語には大きく分けて3種類あります。尊敬語・謙譲語・丁寧語です。行動の主体が相手なのが尊敬語、主体が自分なのが謙譲語、どちらでもない丁寧な表現にしたものが丁寧語です。

3つのをアピールする女性社員

尊敬語

・主体は相手
・相手や相手の行動や物を敬う表現
・「お~なる」「お~られる」「お~くださる」

謙譲語

・主体は自分
・自分を相手よりも低くして、へりくだった言い方をすることで相手を敬う表現
・「お~いただく」「お~させていただく」

丁寧語

・主体はどちらでもない
・話し手が丁寧で美しい表現
・「です」「ます」

「受け取る」の尊敬語は「お受け取りになる」「お納めになる」

「受け取る」の尊敬語は「お受け取りになる」または「お納めになる」です。上司や取引先のお客様など目上の人が受け取る場合にはこの表現を使用するようにしましょう。

部下の言葉遣いが気になる男性

使い方の例

・「○○をお受け取りくださり、ありがとうございます」
・「どうぞ、お受け取りください」
・「つまらないものですがお納めください」

「受け取る」の謙譲語は「頂く」「頂戴する」

「受け取る」の謙譲語は「頂く」「頂戴する」です。目上の人からの贈り物などを自分が受け取る時にはこの表現を使用してください。 もっと丁寧な言い方として「賜る」「拝受する」という表現もありますので合わせて覚えておきましょう。

打ち合わせで緊張している男性

使い方の例

・「勿体ないお言葉をいただき、誠にありがとうございます」
・「有難い品を頂戴する」
・「ご指導を賜りたく存じます」
・「資料を拝受しました。ありがとうございます」

「結構です」の敬語の意味と使用する時のマナー

「受け取る」の類義語「査収」という言葉の意味

よくビジネスメールなどで添付書類がある時、「よろしくご査収ください」といった表現がなされていることがあります。「ご査収」とはどのような意味でしょうか。読み方は「ごさしゅう」で、メールなどのやり取りの際、高頻度で使用される言葉です。

勉強熱心な女性

「査収」の意味を辞書で調べてみると、「金品や書類などを調べて受け取ること」とあります。「査」は「検査の査」で「収」は「回収の収」と覚えておくと分かりやすいかもしれません。つまり、「査収する」とは「よく調べて受け取ること」となります。尊敬語にする場合には頭に「ご」をつけます。

「受け取る」の類義語「査収」の使い方

「査収」という言葉をメールで使う時、基本的に「査収」という言葉がすでに丁寧な言い方なので、「よろしくご査収ください」くらいで丁度良いです。ご査収の前によろしく、が付くことに違和感を覚える人もいるかもしれませんが、これはよく使われる言い回しなのでそのまま覚えておきましょう

敬語に自信のある男性

どうしても「よろしく」が違和感な人は「ご査収くださいませ」に言い換えても良いでしょう。この言い方でもまだ堅すぎると思う人は「ご査収の程、よろしくお願いします」の言い方でも大丈夫です。

例文で確認

To 山田課長
【タイトル】プロジェクトの企画案書類の送付
【本文】山田課長お疲れ様です。木村です。会議で使用するための企画案の書類を添付ファイルにて添付いたします。よろしくご査収ください。

「わかりました」を敬語で伝える時の変換方法とマナー

「受け取る」の類義語「査収」の間違った使われ方

「ご査収」の意味が分かるとついいろんな場面で乱用してしまいがちです。そうすると当然間違っている使われ方も多々あります。間違いがちな使い方を紹介します。

敬語の使い方をネット検索して注意する上司

調べるものがない時の「査収」

添付ファイルがないのに「ご査収ください」と言われても何を調べればいいのか困ってしまいますよね。日程などの確認の場合は「ご査収」ではなく「ご確認いただけますでしょうか」が正しいです。

よく調べる必要がない時の「査収」

「ご査収」には「よく調べて受け取る」という意味があるので、一度相手に見てもらったものを再度確認してもらう時には、一度見ているのでよく調べる必要がありません。したがって、「ご確認ください」で十分です。

丁寧すぎる場合の「査収」

たとえば以下のようなメール文をもらった時、感じる印象はどうでしょうか。

丁寧すぎるメールの例文

ご査収の上、よろしくご手配賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

丁寧すぎて、くどいですよね。ここまで丁寧になってしまうと逆に不自然です。ご査収という言葉自体、知らない人も多いですから、あまり頻繁に使用する必要はないです。意味が伝わるように分かりやすい言葉に言い換えるのも良いでしょう。

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