仕事の生産性を上げるポイントや高める働き方とは?

仕事の生産性が問われるようになっている今ですが、そのために必要なポイントや、働き方について紹介しています。個人や企業の生産性を高めるためには、ただの熟練ではなく変化を求め積み重ねることが大切です。

仕事の生産性を上げるポイントや高める働き方とは?

仕事の生産性がこれからの日本の課題

日本は世界中でも名前の知られている経済先進国で、GDP(国内総生産)の額は世界でも3位となっています。より上はアメリカや中国といった人口の多い国であることを考えれば、日本人は頑張っていると思うかもしれませんが、日本人の一人あたりGDPは、20位以下と実際にはそれほど生産性が高くありません。

最近は「働き方改革」として様々な働き方への注目が集まっていますが、ネックになっているのがこの仕事における生産性の問題で、国際的な競争力を保ちつつ、労働時間の短縮や幅広い層の労働参加、そして少子高齢化などへの対応を担っていく必要があります。

個人としても企業としても骨格となるこの仕事の生産性向上について、普段から意識しておくことは、個人のキャリアや企業の成績、国際的な日本の競争力維持のために大きく役立つでしょう。

仕事の生産性とは何か

電卓を持ってるスーツを着た女性

そもそも、「仕事の生産性」とは何を意味しているかというと、「仕事の効率」のことを言います。厳密には「アウトプット(成果)をインプット(投入)で除した(割った)もの」と定義され、労働生産性や資本生産性など、何を評価基準に取るかによって内容が変わってきます。

一般的に仕事の生産性は、「仕事量÷労働時間」で考えます。売上などが発生しない仕事もあるため、大枠で仕事量として考えることで「どれだけ仕事を効率的にしたのか」について考えやすくなります。

仕事の生産性を上げるために意識するべき8つのポイント

生産性を上げるためにはどのようなことについて意識するべきか、すぐにでも意識できる8つのポイントを紹介します。

1.仕事を分解する

生産性を高めるためには、どこで仕事に時間がかかっているのかを分析して改善する必要があります。そのためのスタートになるのが仕事を分解することです。基本的には大きく時間がかかっている部分を見つけ出し、その部分を短時間でできるように改善していくことが効率的な業務改善につながります。

2.やめられる仕事はやめる

生産性向上のために最も効果が大きいのが「やめられる仕事はやめる」ことです。毎週の会議が隔週になれば、それだけでも仕事の生産性は向上します。また、社内文書をペーパーレスにすると決めてしまえばファイリングや印刷などの仕事も減り、印刷機に関する保守や消耗品の交換などの時間も短縮されます。

何かをやめる場合にはどこかに負荷がかかることもあるので、よく検討してからやめる内容を決めることが大切です。また、個人の仕事なら、自分がするべき仕事でない場合には「ノー」とはっきり断ることも大切です。

3.ビジネススキルを高める

勉強会をしてる会社員たち

基本的なビジネススキルを高めることは仕事の生産性を高める王道です。仕事を進める中での報告・連絡・相談はもちろん、その仕事における専門的な能力を磨いたり、書類の作成技術やパソコンなどのIT機器の操作技術、短く革新的に話す技術など、様々なビジネススキルを磨くことによって生産性を向上させることができます。また、ビジネススキルの高い個人が作業の効率化のノウハウを周囲に共有することで組織全体のスキルも高まります。

4.目的を意識する

生産性を向上させるためには、目的を意識することが大事です。営業職であれば「売上」が生産性を決めることになりますので、売上を意識した行動をすることが大事で、何件電話をかけたか、何百社のリストを作ったかは、仕事をしたつもりでも求められている仕事そのものではありません。

目的にこだわったアクションをすることによって生産性が向上する場合もありますし、すべての業務を目的に紐づけて見つめ直すことが大切です。目的を分解して目標を立て、その目標達成に向かってひとつひとつ努力をするように習慣づけることが効果的です。

5.成功パターンを学ぶ

生産性を向上させるためには、独学でもできなくはありませんが、より良くできている個人や企業を見て成功パターンを学び、まずはそれに近づけていくことが大事です。こうした取り組みをベンチマークと呼びます。ベンチマークをする中で大事なのは、ただ真似をするのではなく、何がポイントになっていて生産性が向上しているのかを見つけ出し、その要素に適応していくことです。

6.スケジューリングを見直す

時間の無駄が多くなれば、それだけ生産性が低くなります。労働時間あたりのアウトプットを増やそうと思ったら、アウトプットを増やすための業務に多くの時間を投入する必要がありますが、スケジューリングがうまくできていないと何をするにも中途半端な時間が増えてしまいます。それで空いた時間に意味はないと思いつつもメールボックスを開いたりネットサーフィンをして時間を無駄に過ごす、といったことの積み重ねで生産性が下がっていることも少なくありません。

7.交渉する

仕事のことで交渉してるスーツを着た男女

生産性向上のためにはアウトプットを増やすことが大事ですが、そのために必要になるのが交渉をすることです。最もわかりやすいのが価格交渉で、交渉により10%高く売ることができれば、同じ仕事量で何が変わったわけでなくとも、その交渉の時間だけで生産性が10%向上したことになります。また、仕事を請け負う際にも、交渉して求められているレベルや数量を落すことができれば、それだけ余計な時間を使わずに終わらせることができます。生産性向上は交渉によってもできるのです。

8.システム化を進める

生産性向上がお題目だけになりやすいのは、生産性を上げることについて個人の努力などに委ねてしまいがちだからです。業務の見える化を推進したり、業務手順を誰にでもわかるようにまとめたり、生産性の高い社員を評価する仕組みなど業務や制度のシステム化を進めることが大事です。また、実務的には機械にやらせた方が速いことは機械にさせることができるように、必要な機器・サービスを導入・活用することもシステム化と言えます。

仕事の生産性を上げるための働き方

生産性を上げるためには、働き方そのものを見直した方が良い場合もあります。新しい働き方について、生産性を上げるための視点から、生産性を上げるための働き方を8つ紹介します。

1.週休3日制

週休2日制をさらに推し進めて3日にすることで、余暇時間を増やし、個人のスキルアップや健康状態の維持、知見の広がりを期待でき、業務時間注の生産性向上に役立てることができます。企業によってその形は様々ですが、今後広がりが期待されている労働形態です。

2.高度プロフェッショナル制度

「高度プロフェッショナル制度」は2015年の労働基準法改正に含まれている働き方の制度で、労働者の視点から「残業代ゼロ制度」と呼ばれることがあります。「仕事に人を当てる」という発想であり、明確に仕事を達成しさえすれば労働時間は問いません。そのため、高度な専門性を有する人材が積極的に生産性向上に取り組むことが期待できます(注1)。

3.テレワーク

テレワークとは、自宅やサテライトオフィスなど、定められている事業場以外の場所での勤務を認める働き方です。インターネットの登場によってテレワークでも会議や情報交換がスムーズにできる環境が整い、通勤や社内外の移動にかける時間の削減による生産性向上が期待できます。

4.ワークシェアリング

チームで仕事をしてる会社員たち

ワークシェアリングはある仕事を複数人でシェアすることによって、一人あたりの仕事の時間を減らし、雇用を維持するという雇用対策の意味合いが強いです。しかし、単純労働ではなくある程度の専門性を必要とする業務においては、引継ぎなどを通して熟練した労働者からのノウハウやスキルの移転などが行われ、全体の生産性向上も起こります。また、病気やケガなどによって仕事に穴が開くことを防ぐ効果もあり、組織としての生産性向上に有効です。

ワークシェアリングとは?新しい働き方のメリットと問題点

5.フレックスタイム

仕事の内容によっては、時間に縛られずに働くフレックスタイム制度が生産性向上に有効な場合も多いです。自由に時間を使えることから通勤の混雑を避けたり、社外の活動を通してイノベーションの種を集めてくることも可能です。会議や全社イベントなどのためにコアタイムを設けている会社が多いですが、テレワークの推進によってコアタイムの導入は徐々に減ってきています。

フレックスタイムとは?導入のメリットとデメリット

6.ノー残業デー

昔から行われているノー残業デーは、定時で仕事を終わらせることによってその後のプライベートな時間を自由に使えるメリットがあります。「残業をしない、させない」ために定時までに仕事を終わらせるモチベーションが高まるため、結果的に生産性の向上につながることも多いです。

7.独立・業務請負

会社では煩わしい手続きや確認事項、社内ルールが多く、同じ仕事をするなら個人でやった方が早いという場合も少なくありません。最近は独立して企業から業務を請け負う個人(フリーランス)も増えています。行うべき仕事に集中することができるために、生産性が高まります。特に専門的な能力を必要とする仕事における業務請負は生産性が高い傾向があります。

8.ダイバーシティ&インクルージョン

会社の中の外国人や老若男女が一緒のチーム

「ダイバーシティ」は外国人や高齢者、別業界の人など「多様な人材を取り込むこと」を意味し、「インクルージョン」は「個々の従業員の経験や能力を活かすという考え方」です。多様性が生み出す様々なアイデアが常にイノベーション(革新)の材料になるため、こうした組織を作ることや、個人としてもそういった意識で様々な人に接することによって、生産性向上のヒントを得られる可能性が高まります。

仕事の生産性向上は変化の積み重ねから

仕事の生産性向上というのは、同じことを同じようにしていてはなかなかうまくいきません。考える速度や動作の速度は同じ個人であれば大きく変わることはありませんから、単純な慣れや熟練による生産性の向上には限界があります。

生産性を向上させるためには「変化」が大切です。様々な面において変化を求め、未知の分野に飛び込む、そうした変化の積み重ねが大きな生産性の向上につながっていきます。自分の働き方や組織のあり方を見直して、生産性向上について何か変化を起こしましょう。