職業/働き方

品質管理の仕事は顧客が求めているものを生産現場に伝えること

品質管理の仕事は、あまり目立つことはありませんが、企業の生産現場と顧客をつなぐ大事な役割を果たしています。品質管理の仕事がどのようなものか、またどのような能力が必要なのかについて体験談を交えて紹介します。

品質管理の仕事はビジネスには欠かせない

求人票などでは「品質管理」という職種を良く見かけることがありますが、その言葉のニュアンスから何をする仕事かはわかっても、具体的な内容がイメージできないという人も多いです。品質管理の内容は企業や取り扱う商品・サービスによっても違いがあり、その一概に表すのが難しいのも確かです。

ただ、どんな業界だとしても、品質管理の仕事はビジネスには欠かせないものになっているのは確かです。特に製品の品質要求が高い日本においては、品質管理がしっかりできない企業は長く続くことはありません。ビジネスにとって重要な品質管理の仕事について理解を深めましょう。

品質管理とはどういう仕事?

「品質管理」はその言葉の通り、「品質を管理する」ことが仕事となります。

品質を管理すると言っても、取り扱う商品やサービスによってその内容は違ってきます。しかし、品質管理の基本は大きく変わることはありません。

品質管理では、管理の基準となる目標を設定し、その目標をクリアできるように商品の生産ラインを動かしていくことが求められます。

常に現場は動いていますので、おいそれと止めることはできません。そのため、何か品質管理上の問題があれば、なるべく早く改善方法を導き出す必要があります。そして、問題を解決し、要求されている品質まで改善できるように改善点を現場に伝えて反映させていきます。問題解決能力やコミュニケーション能力、また現場に関する知識など幅広い分野の知識やスキルが必要となります。

品質管理において品質を求めるのは生産現場ではなく顧客です。そのため、品質管理を担当する人は、顧客と現場の橋渡しの役割を担います。顧客の求める品質の商品・サービスを、現場で効率よく生産できるようにマネジメントするのが品質管理の仕事です。

品質管理と品質保証の違い

最近は「品質管理」とは別に「品質保証」という職種を設けている企業もあります。どちらも品質に携わる仕事であり、実際に仕事内容が似ている部分もあります。

「品質管理」は、顧客から求められている品質の商品・サービスの生産を目的に社内で管理を行うことを言います。対して、「品質保証」という場合には、企業側が顧客に対して提供している商品・サービスの品質について保証を行うことを言います。

品質保証では、商品の品質が一定であるように、原料から生産、出荷、保管、販売などのプロセスを把握し、それが適切に行われているかを確認・管理していきます。また、顧客に提供された商品やサービスなどに問題があれば、返金・返品などの対応を行ったりします。

品質管理は「安定した品質の商品を生産する」ことに主眼が置かれ、品質保証では「安定した品質の商品を提供する」ことに主眼が置かれると言っても良いでしょう。そのため、品質管理は品質保証の中のひとつという見方もできます。

品質管理において大事なのはマネジメントサイクルであるPDCA

品質管理の中でも基本となるのがPDCAと呼ばれるマネジメントサイクルです。品質管理におけるPDCAについて紹介します。

PDCAのP:Plan(計画)

品質管理のスタートは、計画を立てることから始まります。QC工程表(管理表)などの書類を作成しながら、品質管理上の目標を設定し、それを実現するための計画を作っていきます。その中で標準手順書の作成や、検査項目のチェックリストなどを作成し、現場の責任者などの体制を作ります。

計画を立てるためには、生産方法や生産現場の設備や事情にも精通している必要があるため、常に現場の従業員以上に勉強しておく必要があります。

PDCAのD:Do(実行)

PDCAのPで作った計画を実際の生産現場で実行していきます。

品質管理に携わる人が直接すべての業務を行うことはできませんから、計画を実行に移すためには関係者への周知や教育が必要となります。多くの人を動かすことになり、生産性にも少なからず影響を与えますので、リーダーシップや指導力が求められます。

PDCAのC:Check(チェック・確認)

PDCAのDによって生産された製品・サービスの品質を計画に基づいてチェックするだけでなく、生産の過程においてどこで問題が生じているかをチェックしていきます。

最終的に商品の品質に問題がある場合もありますし、一部でミスが多発したり、ボトルネック(その部分の作業が進まないことで全体の工程が遅れてしまう部分)が生じていることもあります。

生産過程のどこに、どのような問題があるのかを確認することでより良い改善を行うことができますので、細かいチェックができる、数字データなどから問題を発見できる能力が問われます。

PDCAのA:Action(改善活動)

PDCAのAでは、Cによって発見された問題点についての改善を行っていきます。一部で人員が不足しているなら余裕のある所から人を回したり、設備のどこかに不備があればその修理に当たるなどの対応を考えていきます。中には生産現場だけでは解決できない問題もありますので、うまく他部署と相談しながら問題解決にあたる必要があります。

改善がある程度できたら、再度Pに戻って、品質を維持しつつより効率的な作業ができないか検討していき、マネジメントのサイクルが止まらないようにコントロールします。

品質管理の仕事に求められるのは4つの能力

品質管理の仕事で求められる能力について整理します。品質管理の仕事を他部署と連携を取りながら上手く進めていくためには4つの能力が必要です。

1.顧客と生産現場をつなぐコミュニケーション能力

顧客と生産現場の橋渡しとなる品質管理の仕事ですが、コミュニケーション能力が無ければ一方的にどちらかの声を聞いてしまったり、またどちらの意図とも違う結果を生じさせることになりかねません。しっかり双方の意見を聞き、折り合いをつけて製品やサービスの品質に落とし込んでいくことが必要となります。

2.常に見識を深めるための研究・問題解決能力

品質管理の世界は、常に研究が必要な世界です。ただPDCAを回すだけでは限界があるため、常に新しい方法や技術などについても見識を深めておく必要があります。知識・技術の蓄積が、いざという時の問題解決能力につながることは少なくありません。また、多くの人に問題を共有してもらい、また解決策について理解してもらうためには、「AだからBだ」という因果関係を踏まえた理論的な説明ができる必要があります。

3.数字から結果を導き出すことができるパソコンスキル

品質管理の仕事をするなら、表計算ソフトを不自由なく扱えるくらいのパソコンスキルがあると理想的です。品質管理の仕事では、多くの数字を見ることになりますが、その数字を適宜整理して意味のある結果を導き出したり、説明していくことが求められます。そのため、パソコン関係のスキルがある人や、資格を持っている人は重宝されます。

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4.生産作業を高い所から見渡すことができる能力

生産現場ではどうしても、自分の仕事についてのことに視点が偏りがちです。しかし、部分最適が全体最適になるとは限りません。品質管理を仕事にする人は、生産ライン全体の作業を熟知し、全体の流れの中で問題を見つけ、改善することが求められます。時にはある場所の生産性を落としても別の部分の生産性を高めた方が全体がうまく回ることもあります。

特に、緊急事態によって生産現場の状況を大きく動かす必要がある場合には、どこかで不具合が生じないようによく全体を見ながら考える必要があります。また、品質を不安定にしているクリティカルな部分を見つけ出すことが必要で、そのためには大きくも見ることができ、小さくも見ることができることが大切です。

考えたい!品質管理の仕事のキャリアについて

品質管理の仕事は役割を果たすために常日頃から努力を重ねなければなりませんので、キャリア形成についても考えておく必要があります。

品質管理の仕事は未経験からでも可能

品質管理の仕事は、特別な資格が必要な仕事ではないため、未経験者だとしても就職・就業することが可能となっています。ただし、しっかりと品質管理の役割を果たすためには、業界知識や生産に関する知識が必要ですので、経験者が優遇される傾向があります。

品質管理の仕事をするなら資格を取得したい

品質管理ではQC検定(品質管理検定)と呼ばれる資格の取得を通して、様々な分野における品質管理方法や考え方を学ぶことができます。その他、パソコン関係の資格やビジネスマナーなどの資格も業務上役立ちます。業界によっては、栄養士資格や危険物取扱者資格などがあると良い場合もあります。

品質管理の経験があると転職に有利

品質管理の仕事をしている人は、そのまま生産現場のマネージャーや、責任ある立場を任せられることも多いです。また、研究開発部門に異動して商品開発などに携わることもあります。

転職においては、多くの業種で品質管理の経験者を求めているため割と優遇されるでしょう。特に、自分が品質管理の仕事を行ってきた分野の同業他社であれば、即戦力として重宝されます。

品質管理の仕事をしていました体験談

ここでは、品質管理の仕事をしていた3人の体験談を紹介します。品質管理という言葉の響きから無機質な仕事に感じがちですが、人とのかかわりが大切であることが分かります。

顧客とのコミュニケーションが欠かせない仕事が品質管理

さくら(44歳)


自動車関係のシステム開発に従事しています。システム開発では大きく分けて、要件定義、設計、開発、テスト、顧客受け入れテストと進めていくことが多いです。

勤務体系は顧客の勤怠に合わせることが大半で、お盆休みや正月連休といった長期連休は取りやすい環境です。

システム開発での品質管理は、まずは顧客要件に合致したシステムを提案できるかが最初の一歩です。顧客要件を理解し、会話できなければ次に進めません。そのあとの具体的な設計に関しては内部レビュー、顧客レビューを積み重ねます。設計品質に関しては顧客を巻き込んで進めることが中心になります。

システム化を進めるうえでの課題の状況を管理し、一つ一つ合意を得ていくことが必要になり、顧客とのコミュニケーションを大切にしていきます。コミュニケーションの品質が最終的なシステムの品質と直結すると感じることが、私にとって大きな財産になっています。

パートへ指導するのも品質管理の仕事

ひろし(30歳)


新卒で入った広告関係の会社の販促物の企画から量産の試作品を作る部署で働いていました。土日祝は基本的に休みですが、残業が多い職場でした。

試作品をお客さんに確認していただいた後自社工場で量産を行います。工場は普段は別の部署の管轄ですが、私達の関わった商品は組み立て方など難しいため、直接出向いて実作業をするパートの方へ指導、監督をしていました。

ところがこのパートの方たち、話はしっかり聞いてくれるものの「組み上がっていれば大丈夫。」というような考え方で見た目の綺麗さなどは二の次のような感じだったので、逐一個別に指導することにより品質を保つようにしました。

パートの方への指導をしたことで、相手に伝わりやすい説明の仕方を勉強することができました。また品質を保証しなければならないというプライドも持つことができました。

他部署との連携が大切です

ペギ(36歳)


患者様に対しての一連の医療行為も一定の品質を保ちたいとの院長の意向から、その当時、病院ではまだ珍しいISO9001の取得に向けて動き出しました。

私は内部監査員として、通常業務をする傍ら、ISO9001の院内の作業フローなどを洗い出すことをしていました。勤務時間は9時から18時までで、週休2日のシフト制でした。

品質管理の仕事内容は所属の栄養科にかんするもので、患者様の食事に関する調理フロー図や栄養指導フロー図、またそれにかかわる帳票類のピックアップや扱う調理器具、栄養科に関わる他部署とのつながりをフロー図にするなど業務に関わる全てを洗い出したようなかんじです。

なので、詳細を洗い出す作業量が膨大であったこと、他部署と連動して作業しなければならず、時間の捻出が特に大変だと感じました。

ですが、一度、体制が整ってしまえば、あとは適宜修正を加えるだけなので、一定水準の品質をもった医療サービスを患者様に提供できるというメリットは大きいものが有ったと思います。

品質管理の仕事は「縁の下の力持ち」

品質管理の仕事は、工場などの生産現場において非常に大切な働きをしています。生産現場では顧客の姿や反応を直接見る機会はほとんどないため、顧客が求めるニーズをつかみ、商品の品質に反映させていくことが品質管理には求められます。

品質管理の人の仕事ぶりで、生産現場で作られる製品やサービスも違ってきますし、また現場の雰囲気も大きく変わります。品質管理ができている企業は信頼感も高まりますし、またモラルと活気のある良い企業が多くなります。内外に様々に影響を与える「縁の下の力持ち」が品質管理なのです。