退職

早期退職のメリットとデメリット後悔しない決断のポイント

早期退職をしようと考えたことはあっても、決断しようか迷っている人も多いのではないでしょうか。早期退職にはメリットもデメリットもあります。早期退職の基本的な仕組みを押さえながら、決断する時の心構えや準備しておくことについてまとめました。

後悔しない早期退職を考えてみよう

一般的に早期退職と聞くと、退職金が普通より多くもらえるというイメージがあるでしょう。自分の今いる会社が早期退職を募集した時、あなたはそれに応えますか。それとも会社に残りますか。雇用情勢が変化する中で、希望・早期退職の募集を行う企業数にまた増加の兆しがあります。

2017年に希望・早期退職募集を行った企業は上場企業では20社にのぼり、すでに昨年の実績を上回りました。リーマンショックの頃をピークとすると実施する企業数は総じて減ってきているものの、こうした動きがまたにわかに活発になりつつあるのも事実です。

特に最近の希望・早期退職募集の傾向としては、単に業績不振を理由にした短期的なリストラ目的のものだけでなく、業績としては堅調でありながら新規事業への参入を見越した既存事業の整理見直しのためなど、将来にわたって企業を存続させていくための長期的な戦略として実施するケースも見られています。

早期退職とは

早期退職制度は、企業側が人員整理のための一つの手段として行うものです。多くの場合は退職金を優遇するなどの有利な条件を提示し、定年前の退職に応じてくれる従業員を募るというものです。40代や50代の従業員を対象に募集するケースがほとんどです。一般的には定期的に実施するものを「早期優遇退職の募集」と呼び、業績不振などを理由に突発的に実施するものは「希望退職の募集」と呼ばれたりします。

早期退職するには?

会社によって定期的に早期優遇退職の募集がありますので、自分で応募します。それぞれの企業によってまちまちですが、早期優遇退職の場合、勤続年数や年齢などの応募条件があります。自分が応募条件を満たしているかどうかは事前に確認しておきましょう。

応募しても必ず早期退職が叶うとは限りません。定員を超える応募だった場合や、募集の条件として「業務上特に必要な人間は対象外とする」という記載があるような場合には、企業側の判断により早期退職が認められないこともあります。

早期優遇退職は、会社の利益や業績を守るために実施されますので、会社にとって必要な人材が早期退職によって過剰に流出しすぎないようにしているということです。

早期退職で退職金や年金はどうなるの?

早期退職により退職金が優遇される場合、通常の退職金に加えて1年から数年分の給料が上乗せされて支払われるのが一般的です。そのため、退職時にはかなりまとまった額のお金をもらった上で退職できることになります。

会社に在籍している時は厚生年金に加入していますが、当然ながら早期退職した場合はその時点で厚生年金からは脱退することになります。会社が募った退職であれ何であれ、会社を辞めることには変わりはないからです。もちろん、厚生年金の加入期間について猶予されるといったことはありませんので、この点は注意が必要です。

退職後にすぐ他の会社に転職しない場合は、厚生年金の加入者にあたる国民年金第2号被保険者から第1号被保険者への変更手続きが必要ですので、こちらも忘れずに手続きをするようにしましょう。

早期退職のメリット

早期退職は、通常よりもかなり多い額の退職金を得て退職することができます。定年まで待たなくてもまとまった額のお金をもらえることができますので、こうした点がメリットとして挙げられます。

早期退職にはデメリットもある

早期退職にはまとまった額のお金を手にするメリットもありますが、実は気をつけなければいけないデメリットもあります。

もらえる年金額に差が出る

定年前に厚生年金を脱退する形になりますので、サラリーマンの定年齢である60歳まで会社に在籍した時と比べると、もらえる年金額に差が出てきます。早期退職した年齢が早ければ早いほどもらえる年金額は減りますので、場合によっては老後の生活に支障が出るほどの減額になりうる可能性があります。

一般的には、定年後の夫婦2人が最低限の生活するためにかかるお金は月額で22万円というデータもありますので、こうした数字を一つの目安とするのもいいでしょう。必要に応じて個人型の確定拠出年金を利用するなど、老後の生活費を上積みするための資産運用を検討しておくのがおすすめです。

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転職や再就職が難しくなる

最も大きなデメリットになりうるのが、早期退職した場合、他企業への転職や再就職が非常に難しくなる可能性があるという点です。何故かというと、早期退職は基本的にリストラのために行われるものであり、早期退職をした人というのは、仮にどのような事情があったとしても、リストラをしても会社的には影響が少ない人材と思われてしまう可能性があるからです。

さらに、早期退職の対象となるのは若い世代ではなく、40代や50代の人たちです。通常の転職においても、企業側はどちらかというと長く働ける若い世代を採用する傾向がある中で、早期退職という要素が加わった場合、いくら経験豊富だったとしても40代や50代の早期退職者が転職を成功させるのは厳しいと言わざるを得ないでしょう。

貯金が底をつく

早期退職の結果として転職前と同程度のポストにつける可能性も低くなり、場合によってはいつまでも転職先が決まらず、貯金が先に底をついてしまうという最悪の可能性も考えられます。

目先のまとまったお金に気を取られて早期退職を考えている人は、自分が今の会社の外でも活躍できるくらいの市場価値がある人材なのか、冷静に分析してみるのがいいでしょう。もし自分に自信が持てなければ、早期退職はするべきではありません。

早期退職に向いている人

早期退職した後にやりたいことがすでに明確になっている人は、早期退職をしても失敗する可能性は低いでしょう。例えば、早期退職で得た退職金を使って自分で起業しようと思っている人や、早期退職をきっかけにして住む場所も含めて生活スタイルを大きく変えようと思っている人などです。

早期退職から同種の仕事や同程度のポジションに転職するのは現実的に難しい部分がありますが、早期退職をきっかけにして新しい生活をするビジョンが固まっていれば、早期退職は自分のやりたいことを実現させる大きなチャンスになるでしょう。

早期退職を決断する時のポイント

退職を決断する時というのは様々な要因が考えられますが、会社の業績と自分の将来のことと両方を視野に入れながら決断するのがいいでしょう。会社の業績や展望を考えた時にこのまま会社にいた方がいいのかどうか、また社会人として年齢を重ねていく中で今の仕事とは別の方向でチャレンジしたいことはあるか、ということを考えてみると、早期退職をした方がいいのか、それとも会社に残った方がいいのか答えは出るはずです。

何よりも大事なことは、目先の退職金の額面や周りに流されて安易に決断しないことです。

自分だけで決断せずに家族に相談してみることも大事です。早期退職は、収入が大きく変わる可能性がありますので、同居する家族にとっても大きな決断をすることになります。あらかじめ家族には相談をしておいて理解を得ておくと、家族内でのトラブルも起こりにくくなるはずです。

早期退職前に準備しておくこと

早期退職をして何をしたいのか、それをしっかり明確にしておきましょう。何を、いつまでに、資金はどれくらい必要か、などをはっきりさせておくことが大事です。しばらく収入がない状態が続くことも想定して、早期退職をする前から生活資金を貯蓄しておくことも必要でしょう。何をするにしても、実現可能なビジョンとそれを実現させるための資金をしっかり持っておくべきです。

早期退職のその後は?

割り増しされた退職金が欲しいという理由だけで早期退職をしたのでなければ、やりたい事というのはすでに見えているはずです。起業するもよし、夫婦でお店を開くのもよし、地方で農業をやって自給自足の生活をしてもいいし、もしくは物価の安価な国に引っ越して現地に根付く生活をしてもいいでしょう。やりたい事があれば、それが実現できるように行動すればいいのです。

早期退職が第2、第3の人生を楽しむためのきっかけと考えれば、早期退職は前向きな選択として捉えることができるはずです。

もちろん、国民年金や国民健康保険などの手続きは必要な場合は、忘れずにするようにしましょう。手続きをせずに未納期間を作ってしまい、肝心な時に手当の支給が受けられない、といったことにならないように注意しましょう。

早期退職は自分で考えて自分で決める

早期優遇退職は、メリットもあればデメリットもあります。早期退職をした後で後悔しないようにするためには、周りの考えも取り入れながら、最終的には「自分で考えて自分で決める」姿勢を持つことが大事です。

早期退職のチャンスが巡ってきた時は、自分のキャリアのことを点検するための時期が来たと考えてみるといいかもしれません。そんな風に考えることができる人であれば、前向きに早期退職制度を活用することができるはずです。一つの選択肢として頭の片隅に置いておけば、早期退職制度がいつか役に立つ時が来るかもしれません。