退職に必要な書類と手続きまとめ

会社を退職する時、退職後にはどんな手続きが必要になるのでしょうか?退職後の年金や社会保険、失業保険まで丸っとすべてをまとめています!必要な書類を揃えてスムーズに退職の手続きを行いましょう

退職に必要な書類と手続きまとめ

退職に必要な書類や手続きはたくさんある

「会社を辞めよう」と決意したなら、退職後の手続きや、会社に返却すべき書類、そして退職後に届く書類、やらなくてはならない手続き、返却しなくてはならない物などをチェックしておきましょう。気になる雇用保険や失業保険の受給まで、二度手間にならないように手続きの方法を確認しておくべきです。退職に関わるスケジュールを確認しておき、無駄を省いた円満退社を目指しましょう。

退職のタイミングは手続きを考えると月末まで在籍しているのがベスト

会社に退職を伝えるタイミングはいつがいいのか悩んでいるサラリーマン

退職を決意したあなた。では退職はいつ会社に伝えればいいのでしょうか?

まずは、有給の残りを確認しましょう。有給を消化してから退職することで、自身の負担が軽減されます。有給の残日数は給料明細に記載されている場合が多く、給料明細で確認できない場合は、総務に確認する必要があります。

その次にボーナスの支給時期を考えましょう。通常夏と冬の2回に支給されるのでそれを支給されてから退職しても遅くありません。「ボーナスをもらった直後にやめるなんて…」と考えてしまう人もいますが、ボーナスは基本的に今までの働きにたいする物なので、しっかりと貰える物は貰ってやめても一切問題ありません。

最後に、月末に退職予定日を設定しましょう。月の途中で退職してしまうと、健康保険や厚生年金の被保険者から外されてしまいます。被保険者期間は前月の末日に設定されてしまい、ご自身で国民健康保険と国民年金の分の保険料を支払う必要があります。厚生年金が1月分喪失してしまいますし、手続きの手間などを考えると、退職月まで被保険者でいるためには、月末日まで今の会社に在籍しているのがベストです。

退職手続きの第一歩は退職願を用意する

退職の日付を決めたら、退職願を準備しましょう。ここで注意しなければならないのは「退職届」ではないという点です。退職願は会社に辞意を伝えるための書類です。会社との交渉があり、退職理由が克服された時に退職願は撤回出来ますが、「退職届」は撤回出来ません。
退職願を出すことで、現状に不満を持っていることは伝わってしまうので、細心の注意を払う必要があります。

【退職願の書き方例】正しく書きたい項目は6つ

退職する時に会社に返却しなければいけない物

  • 健康保険被保険者証
    健康保険は、加入者が会社を辞めた時点で脱退する仕組み。退職後は国民健康保険への加入が義務であり手続きが必要となります。国民健康保険への加入、任意継続被保険者制度の利用を考えましょう。
  • 身分証明書、社員章、名刺
    自身がその会社に帰属していると証明できてしまうものは全て返却の必要があります。
  • 制服
    洗濯やクリーニングに出して清潔にしてから返却するのが礼儀です。
  • 通学定期券
    現物支給だった場合には、定期券も返却しなければなりません。
  • 会社の経費で購入したもの
    書籍やノートPCなど、社費でまかなったものは返却する必要があります。ノートPCの返却時にはクリーンインストールが必要となる場合があるので確認しておきましょう。
  • 自分が関わった仕事の書類
    守秘義務がありますので、自分が担当した仕事関連の資料や書類は、全て会社に残していきましょう。

退職する時に会社から受取る書類

退職するときに会社から受け取る書類の一覧

退職時には様々な書類を受け取らなければ、退職後のスムーズな手続きが進まないので、留意しましょう。特に離職票は会社を退職したことを証明する書類で、雇用保険申請時の手続きには必至となる書類です。以下リストを確認して書類の受け取り忘れが無いようにしましょう。

雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証とは、厚生労働省が雇用保険に加入していることを証明してくれる書類です。
対象は正社員だけでなく、一定の条件を満たしたパートの方や、アルバイトの方、派遣社員も含まれます。通常は会社で保管していますが、退職時に渡される書類となっています。
被保険者番号は一人ひとつ割り振られているので、仮に転職を繰り返すことになった時も必要になるので大切に保管しておく必要があります。ハローワークで雇用保険に加入していたことを証明する時に使います。

離職票

離職票とは会社を退職したことを証明する書類です。
もし、転職先が決まっていて退職日の次の日には新しい職場に配属される人には必要ありません。しかし、転職先が決まっていない人は失業給付の受給手続きのために必要となる書類です。退職日(被保険者ではなくなった日)から起算して10日以内に会社から送付されます。この書類もハローワークで失業給付を受ける際に必要な書類です。
10日を過ぎても退職した会社から離職票が送られてこない場合、雇用保険の手続が遅れてしまい、給付を受ける時期も遅れてしまいます。個人で会社に問い合わせをするのが辛い場合は、ハローワークに相談することで、ハローワーク経由で退職した会社に離職票の送付を催促してもらうこともできますので、いつまでも待つのではなくハローワークに相談しましょう。
また、退職理由として自己都合、会社都合となりますが、会社の倒産や退職の理由による、自己都合と書かれている場合でも、本来は会社都合の場合があります。納得出来ない場合は、ハローワークに相談しましょう。
離職票は、ハローワークでの雇用保険の手続以外にも、年金の切り替えなどにも使います。年金の切り替えを先に行い、最後に雇用保険の手続のために離職票を提出するなら問題ありませんが、先にハローワークに提出してしまうと年金の切り替え手続きができないので、順番を考えるか国民年金への手続きのためにコピーをとっておくと便利です。

源泉徴収票

源泉徴収で使う保険料控除申告書

源泉徴収票とは、退職時の年度で一度でも給料を貰っていれば会社が交付する書類です。
転職先で年末調整をする際に提出を求められるのが一般的です。もちろん、自分で前職分は確定申告することで提出しなくても良い場合もありますが、前職の給料などが分かってしまいますが、正直に提出するのが一番です。
もし紛失してしまったとしても、再発行してもらうことができるので、無くしてしまった場合は退社した会社に再発行をお願いしましょう。
また、退職金の多寡によって、税金の発生の有無が記載されており、もし、税金で退職金が引かれている場合は控除の対象となる可能性があるので、お近くの税務署に提出してみましょう。

年金手帳

年金手帳

年金手帳は会社を退職した時に、離職票とともに返却される書類です。
もし、転職先が見つかっている場合は、年金手帳を新しい会社に提出します。転職先が見つかっていない、失業状態になる場合には国民年金に加入する必要があるので、役所に行って国民年金加入の手続きを行います。
すぐに転職先がみつからず、保険料を支払うことができないからといって、国民年金への切り替え手続きを行わないと、万が一その期間に事故などにあった場合に障害基礎年金などを受け取ることができなくなってしまいます。
保険料の納入が難しい場合でも、免除制度や納付猶予制度を利用出来る場合があり、保険料を後々に収めることが可能となるので、必ず手続きをする時に相談するようにしましょう。

厚生年金基金加入員証

退職する会社が厚生年金基金に加入していた場合、発行される書類です。
国が運営している厚生年金とは異なり、基金が運用しています。勤続年数にもよりますが、退職後は一時金を受け取るか、年金として受け取るかを選択することができ、年金として受け取る場合には、加入していた基金へ請求する必要があり、年金を受け取る65歳になった時に提出が必要となる書類ですので、大切に保管しておく必要があります。

健康保険被保険者資格喪失証明書

退職する会社が発行する、健康保険の資格を失ったと証明する書類です。
一般的に失業状態となった場合、国民健康保険に切り替える必要があり、その時にご自身が被保険者の資格がないことを証明する書類です。
なお会社を退職しても、任意継続被保険者制度を利用すれば会社の健康保険に加入し続けることは可能です。手続きは20日以内に、健康保険保険者である健康保険教会や社会保険事務所に申請する必要があります。

退職証明書

この書類は、ご自身から退職する会社へ請求しなければ発行されない書類です。
その性質上、必ず必要となる書類ではなく、次の転職先で提出を求められる場合に発行してもらったことが人もいるでしょう。記載内容は、退職する会社での賃金や役職、退職理由などが記載されています。
退職証明書は離職票の代わりとして、ハローワークでの雇用保険の申請時に用いることができます。離職票は退職後10日以内に郵送にて送られてくる決まりになっていますが、早くハローワークにて雇用保険の手続を行いたい人は、退職証明書にて雇用保険の給付の申請を行うことも可能です。

退職証明書の見本

退職証明書

退職証明書の記入例

退職証明書の書き方についてですが、退職証明書は退職した年月日や使用期間、業務内容、離職の事由などを記載して証明するものですが、様式が決まったものではありません。したがって、決まったテンプレートがなく、それらの内容が示されたもので会社側の署名と捺印があればどのような書式でも構いません。会社側であらかじめ雛形を用意している場合もあります。その場合はその雛形にならうのがよいですが、但し、離職者側には請求しない事項を記載しない決まりとなっており、つまり、特定の事項の記載を止めてもらう権利もあります。

見本ダウンロード

前述の通り、退職証明書には決まった書式はありません。会社側でフォーマットが用意されていればよいですが、そうでなければ自分で用意する必要があるかもしれません。見本テンプレート例のダウンロードを用意しましたので、ご参考ください。

退職証明書テンプレート(詳細フォーマット)ダウンロード退職証明書テンプレート(簡易フォーマット)ダウンロード

「離職証明書」

離職証明書という言葉が使われる場合がありますが、これは場面により様式フリーの「退職証明書」か、もしくは書式の決まっている「離職票(雇用保険被保険者離職票)」を指している場合があります。離職証明書と言われた際には、どの書類についての話であるのか、明確にする必要があるでしょう。

退職したら雇用保険(失業保険)の手続きをする

次の転職先の内定が決まっていなければ、雇用保険の申請は必ず行うようにしましょう。
手続きはハローワークの窓口で行うことができ、手続きに必要な物は以下となります。

  • 離職票(送付されない場合は退職証明書)
  • マイナンバーカードやマインバーの通知カード、またはマイナンバーが記載されてる住民票
  • 免許証やパスポートなどの身分証明証
  • 証明写真が2枚(縦3cmの横2.5cmで上半身が写ってる最近の物)
  • 印鑑
  • 給付金の振込を受けるための口座の通帳やキャッシュカード

まず、離職票をハローワークに提出します。雇用保険とは次の職場が見つかるまでの失業期間に給付されるお金のことです。待機期間と給付制限期間があり、退職理由によって受給期間や受給開始時期が変化します。
自己都合での退職の場合、退職日から7日間の待機期間の後、受給開始まで勤続年数によって受給開始日が変動します。会社都合での退職になった場合は7日間の待機期間の後、8日目から受給開始となります。
退職後、できるだけ早く手続きをすることで早く給付を受けることができるので、会社から受け取ったら速やかにハローワークで手続きをする必要があります。

退職後の健康保険の手続きの方法は?

退職した後の健康保険の手続き方法

退職後の健康保険の手続きには3つの選択肢があります。
まずは退職する会社の健康保険に加入し続ける任意継続です。ちゃんと保険料を納めていれば、会社に努めていた時と同様に社会保険に加入した状態と同じく、2年間の期限付きで保険を受けることができます。
手続きは退職後20日以内に、健康保険教会(協会けんぽ)や社会保険事務所に行き任意継続被保険者資格取得申出書を記入し申請します。

2つ目の選択肢として、国民健康保険への加入です。前述した、健康保険被保険者資格喪失証明書とともに、役所へ提出することで、国民健康保険への加入が可能です。健康保険への加入は国民の義務であり、いつ病院にかからなければならないか分からない以上、退職されたらすぐに加入の手続きを行いましょう。

3つ目は被扶養者として家族の入っている保険に入ることです。結婚による退職なら旦那さんの保険に、早期の定年退職の場合は子供の保険などに被扶養者として加入することができます。被扶養者となる場合は、健康保険と厚生年金がセットとなります。
3親等以内で収入が130万未満(60歳以上は180万未満)など条件がありますので、扶養者となる家族の会社に相談してもらいましょう。

年金の手続きは新しい会社に年金手帳を提出するだけ

退職して、次の転職先が見つかっている場合は、退職した会社から送付された年金手帳を新しい会社に提出するだけです。しかし、失業状態になる場合は、国民年金に加入しなければ、未納期間とみなされ、将来もらえる年金額減ってしまう、万が一納入期間が10年に満たない場合は年金を貰えなくなってしまうので、年金手帳が返ってきたらすぐに役所へ行って国民年金の切り替え手続きをする必要があります。
退職後14日以内に、お住いの役所や日本年金機構の年金事務所に、年金手帳と離職票(コピーでも大丈夫)や退職証明書、身分証明証と印鑑を用意し、手続きが必要となります。

税金の手続きは場合よって手続きが異なるので注意が必要

禅金の手続きで使用する確定申告の書類

年度の途中で退職した場合、住民税の納付方法と、所得税の還付に関して手続きが必要となります。
住民税は昨年の実績に基いて算出されるので、失業状態であろうと請求されます。
確定申告による、所得税の還付は、新しい会社に入社した場合は、源泉徴収票を提出するだけです。しかし、失業状態で年度末を迎えた場合は、確定申告が必要となりますので後述する、書類を用意して税務署へ行きましょう。

住民税の手続きは再就職しないなら自分で払うことになる

住民税は昨年の1月〜12月時点での実績に基いて算出され、退職月、再就職月に応じて、退職した会社の給料での一括納入か再就職先の給料での一括納入となります。再就職をしなかった場合は、6月を境に納付書類が住所へ届くようになるので、ご自身で住民税を支払うことになります。

退職後に再就職しないなら確定申告の手続きを忘れずに

もし、失業状態で年度末を迎えた場合、確定申告が必要となります。源泉徴収票と生命保険の控除証明書、マイナンバーカード、運転免許証、印鑑、振込口座が分かるものを税務署か住まいの役所へ持参し確定申告を行いましょう。年度をまたがずに、会社に転職した場合は源泉徴収票を新しい会社に提出するのみとなります。

退職する時の手続の仕方は前もって知っておきましょう

退職に際しては様々な書類を受け取り、手続きや申請しなければならないことが多岐に渡ることが分かっていただけたと思います。すぐに再就職が決まれば省ける手続きは減りますが、健康保険や年金、雇用保険などは全て自分の為に存在する制度なので、面倒臭がらずに必ず手続きするようにしましょう。
色々な書類、別々の手続場所で大変と感じてしまいますが、どこにでも相談窓口がありますから、「手続きしておけば…」と後悔しないように手続をしましょう。