退職金の相場はどれくらい?会社を辞める前に知っておくべきこと

仕事を辞めた後に会社からもらえるお金の額は、仕事先やその人本人によって異なります。今の仕事を辞めることに不安を抱えている人は、大体の退職金の相場の知識を学んで次の人生へのステップアップに役立てましょう。

退職金の相場はどれくらい?会社を辞める前に知っておくべきこと

退職金の相場が気になるなら、会社を辞める前に知っておこう

すべての人が仕事を辞めるともらえると思ってしまいがちな退職金ですが、実は誰でも受け取れるものではないのです。そうとは知らずに見切り発車で仕事を辞めてしまうと、その後の人生計画が台無しになってしまうなんてことにもなりかねません。

人や会社によって違う退職金の相場についての基礎知識を身につけて、仕事を辞めた後の人生計画を立てましょう。ここでは、退職金の相場と、退職金の相場に関することで知っておきたい4つことをご紹介します。

中小企業の退職金相場

中小企業の退職金はどのくらいなのか、その相場を見ていくことにしましょう。2016年に東京都庁労働産業局が行った「中小企業の賃金・退職金事情」調査によると、中小企業のモデル退職金の相場については、次のような結果が出ています。モデル退職金とは、学校卒業後すぐに入社し、標準的な昇進をした場合の退職金の水準です。ここでは、自己都合退職の場合を紹介します。(カッコ内は勤続年数)

高卒社員の退職金額

中小企業で働く高卒社員の退職金額は、次の通りです。やはり勤続年数が長いと、退職金額も多いことが分かります。

  • 912万円(10年)
  • 1747万円(15年)
  • 2982万円(20年)
  • 4447万円(25年)
  • 6171万円(30年)

大卒社員の退職金額

中小企業で働く大卒社員の退職金額は、次の通りです。高卒社員に比べると、大卒社員のほうが退職金は多くなります。

  • 1148万円(10年)
  • 2251万円(15年)
  • 3805万円(20年)
  • 5626万円(25年)
  • 7490万円(30年)

退職金で知っておきたい4つのこと

中小企業の退職金の相場が分かったところで、退職金についてもう少し詳しく解説していきます。

1.退職金は“勤続年数”によって相場が変わる

退職金の相場に一番関わってくること、それが“勤続年数”です。勤続年数とは退職金を支払ってくれる会社の下で退職を迎える日までの期間です。一般的にこの勤続年数には、欠勤や長期の求職の期間も含まれています

腕組みしながら退職金の計算をする上司

もちろん働く女性が避けては通れない育児休暇なども勤続年数に含まれますが、あくまでもそれぞれの会社が定める退職金規定によって様々な違いがあります。

また、正社員として働く前の臨時社員/契約社員としての期間も退職金がもらえない場合が多いと言われています。退職金について疑問が浮かんだら働いている会社の退職金規定を必ずチェックするようにしましょう。

2.退職金の相場は"退職理由”によって異なる

会社を辞める理由は、退職者の数だけ十人十色です。しかし退職金は、その退職理由によっても金額の相場が変わってくると言われています。退職の理由は大きく2つに分けることができるのではないでしょうか。一般的には自己都合による退職は、会社都合による退職よりも退職金の相場が低くなります。

気に入らない上司と喧嘩をする男性

1.自己都合による退職

自己都合による退職とは、そこで働く「労働者からの申し出による退職」のことを言います。スキルアップのための転職や体調不良による長期休養、一念発起しての海外留学なども自己都合の退職となります。自己都合の退職は、あくまでも自分の意思と都合によるものなのです。

2.会社都合による退職

会社都合による退職には様々なケースがあります。採用時に提示された労働条件と実際の労働状況が明らかに違う場合や、会社による賃金未払い・不当労働・セクハラやいじめなどの人間関係・極端な重労働・健康に害を及ぼすような労働から退職せざる負えなくなる場合も会社都合による退職とされています。

3.退職金計算法は「退職時の基本給×勤続年数に応じた係数」

会社を辞める前に知っておきたいのが、「自分はどのくらい退職金を受け取ることができるのかどうか」ということではないでしょうか。

計算機で退職金の相場を計算する女性

もちろん会社によって退職金の計算方法は違います。しかし一般的には、「退職時の基本給×勤続年数に応じた係数」となります。会社や企業によって勤続年数に応じた係数は異なり、それぞれ勤続年数によって係数を定めています。

自己都合による退職の場合は、勤続年数に応じた係数が会社都合の退職の半分ほどに。必ず勤める会社や企業の退職金規定で確認しましょう。

例)

企業Aの支給率:「勤続年数5年で4.0(係数)、勤続年数30年で30.0(係数)」
退職者B:勤続年数30年、基本給40万円
退職者Bの退職金:40万円×30.0=1,200万円

退職願の用紙についてと本文や封筒の書き方

4.退職金は全額もらえるわけではない

退職金の相場を大まかに計算して、安心してはいけません。その金額を丸々もらえるわけではないからです。退職金にもお給料と同様に住民税や所得税が課税されているので、その課税額を抜いた額が実際に受け取る退職金の額になります。もちろん退職所得として税金の申告をする必要があるのです。

不満気な表情で話しを聞く男性

しかしここで注目したいのが、『退職所得控除額』です。退職所得控除額とは、退職金にかかる税金を計算する際に退職金から控除できるお金です。従って税負担が軽くなります。

退職所得控除額の計算方法がこちらです。

  • 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数
  • 勤続年数20年以上:70万円×勤続年数-20年+800万円

例)勤続年数29年6ヶ月の退職者の退職所得控除額の計算

端数の6ヵ月は1年に繰り上げます。よって勤続年数は30年になります。
70万円×(勤続年数30年-20年)+800万円=1,500万円

【退職願の書き方例】正しく書きたい項目は6つ

退職金の相場を事前に知ることが、退職後の人生設計に役立つ

退職金は勤めている会社や企業などによって、もらえる額から退職金の計算方法まで違うことが分かりました。極端な話になれば、場合によっては退職金がもらえないケースだってあるのです。「仕事を辞めて、退職金で新しい人生をスタートさせたい!」なんていう考えを持っている人はちょっと待った!

勢い余って退職願を出す前に、まずは勤めている会社の退職金規定をチェックすることをおすすめします。そして退職金の4つの基礎知識を学びましょう。

  1. 自分の勤続年数と勤務先の退職金規定の関係
  2. 自己都合か会社都合の退職なのかを判断
  3. 退職金の相場の計算方法
  4. 退職金に関係する税金について

今回紹介したこれら4つのことを踏まえたうえで退職金の相場を知り、仕事を辞めたあとの人生設計を立てるようにしましょう。